インドといえばスパイスの効いた料理、ボリウッド映画、そしてクリケットというイメージが強いですが、近年、新たなカルチャーが都市部を中心に急速に広がっています。それがクラフトビールです。世界的なトレンドの影響を受け、インドのクラフトビール市場は今まさに花開いています。特にバンガロールは、インドにおけるマイクロブリュワリーの中心地として注目を集めています。インドのクラフトビールの拠点バンガロールバンガロールは"インドのシリコンバレー"と呼ばれるほどIT産業が発展している都市で、若者や中流階級の人口が多いことが特徴です。この都市では、クラフトビール文化が急速に浸透しており、数多くのマイクロブリュワリーが誕生しています。例えば、"Toit Brewery"などの施設や、"BIRA"などのクラフトビールメーカーでは、地元産の原材料を活かした個性的なビールが提供されており、地元民や観光客に人気です。Toit Breweryでは、1Fのビールスペースは連日立ち飲みをはじめ多くの人で賑わっており、本格的なピザも提供されています。BIRAは自社のタップルームをコラマンガラ(Koramangala)に構えており、クラフトビールを飲める場所が数多く存在しています。BIRA 91:クリケットとクラフトビールの融合インド国内でクラフトビールの普及に大きく貢献しているのが、人気ブランドのBIRA 91です。2015年に設立されたBIRAは、若者を中心に幅広い支持を集め、国内外でその存在感を高めています。特にクリケットという国民的スポーツのスポンサーとなることで、ブランドの認知度を大きく向上させました。BIRAは、ユニークなキャラクターが描かれたカラフルな缶デザインや、インドの味覚に合うフルーティーなラガービールで人気を集めています。同ブランドは、インド国内の主要都市だけでなく、アメリカやシンガポールなど海外市場にも進出しています。クリケット試合の中継で頻繁に登場する広告により、BIRAは"若者のクラフトビール"というイメージを確立しました。クラフトビール市場拡大の背景インドのクラフトビール市場が急成長を遂げている背景には、以下の要因があります。都市化と所得水準の向上: 都市部を中心に中流階級が増加し、外食や高品質な嗜好品に投資する消費者が増えました。クラフトビールは、こうした新しい消費トレンドにマッチしています。国際的な影響: 海外旅行やSNSを通じて、消費者は世界のクラフトビール文化に触れる機会が増えています。その結果、ビールに対する知識や興味が高まり、多様なビールを求める声が大きくなりました。法規制の緩和: 一部の州ではアルコール販売に関する規制が緩和され、マイクロブリュワリーの開業が容易になりました。特にバンガロールが位置するカルナータカ州は、この規制緩和の恩恵を受けています。新しい飲酒文化の誕生クラフトビールは単なる飲み物ではなく、新しい飲酒文化を象徴しています。都市部では、クラフトビールを提供するパブやブリュワリーが、コミュニティの場としての役割を果たしています。ビールを片手に友人と語り合い、ライブ音楽を楽しむ姿は、インドの若者文化の新しいアイコンとなりつつあります。さらに、ビールイベントやテイスティングセッションも盛んに開催され、消費者がビールについて学び楽しむ機会が増えています。こうしたイベントは、ブランド認知度の向上だけでなく、消費者と企業の距離を縮める役割を果たしています。世界一のクラフトビール市場に向けてインドのクラフトビール市場は、まだ発展途上ではありますが、大きな可能性を秘めています。今後は地方都市への展開や、フードペアリングを含めた新しい体験の提供が期待されています。また、エコフレンドリーなビール製造や地域コミュニティとの連携といった取り組みも、成長を後押しする重要な要素となるでしょう。バンガロールを皮切りに、クラフトビールはインド全土で新たな文化を築き上げています。インドを訪れる際には、ぜひ地元のクラフトビールを味わい、この新しいトレンドを体感してみてはいかがでしょうか。関連記事バンガロールのピザクラフトビールBIRA91