2026年8月、ハイデラバードのVNRVJIETとインド雑穀研究所(IIMR)が、雑穀ロティを自動で焼く機械の意匠特許を取得した。狙いは、雑穀を家庭で食べるときの手間を機械で下げること。乾燥野菜や粉体、雑穀を扱う日本の食品・OEM企業にとって、インドの家庭内調理の入口がどう機械化されるかを見る手がかりになる。以下の金額は2026年9月時点、₹1≈¥1.66換算で併記する。
fnbnewsによれば、VNRVJIET(ハイデラバード)とIIMRが、雑穀ロティを自動で成形・焼成する機械の意匠特許を取得した。現行の同種モデルが15万ルピー(約25万円)なのに対し、この機械は約4万ルピー(約6.6万円)まで価格を下げることを目標にしている。試作と設計には、IIMRのインキュベーション拠点NUTRI-Hubが30万ルピー(約50万円)を拠出した。開発を主導したVNRVJIETの電子計装工学科長Pranavanand Satyamurthy氏は「雑穀食への関心は高まっているのに、手間と時間が日常化の最大の壁だった」と述べ、健康志向の食生活を選ぶ若い世代が増えるなか、この特許機で雑穀の消費に手軽さを持ち込み、国産の食品加工技術も前に進めたいと説明する。
インドではIIMRを軸に雑穀(ミレット)の普及が進められている。ただ、雑穀の生地はまとまりにくく、ロティに焼くには手間がかかる。家庭で毎日作るには負担が大きく、そこが日常の食卓に入りにくい理由になっていた。産学連携でこの調理工程を機械化し、家庭が買える価格帯に落とすのが今回の設計思想になる。
Satyamurthy氏が挙げたのは、雑穀ロティ作りの労力と時間だった。小麦のロティと違い、雑穀は生地の扱いにコツがいる。手作業を前提にすると、健康志向で雑穀を選びたい家庭でも続けにくい。機械が成形と焼成を担えば、この負担が下がる。
現行モデルの15万ルピー(約25万円)は、一般家庭が日常調理のために買う価格ではない。目標の約4万ルピー(約6.6万円)まで下げられれば、購入層は業務用から家庭へと広がる。NUTRI-Hubの30万ルピー(約50万円)の支援は、この価格を成り立たせるための試作・設計に充てられた。NUTRI-HubはIIMRのインキュベーション拠点で、産学の資金を試作段階に集中させ、量産の前に設計を詰める役割を担った。
fnbnewsは、開発チームが雑穀の日常化を阻む要因を手間と時間と位置づけ、家庭向けに価格を下げた機械でそこを崩そうとしている点を報じた。意匠特許は2026年8月25日付で取得され、対象は業務用ではなく一般家庭を想定する。成形と焼成を自動化する機構を家庭が買える価格帯に落とす設計が、報道でも要点として扱われた。生産能力の具体数値は記事では示されていない。
雑穀を機械で家庭に入れる動きは、雑穀そのものを扱う食品事業にも接点がある。伝統食を軸にしたD2CのAnveshanの拡大や、下ごしらえ済みで手間を省くiD Fresh Foodへの投資と並べて読むと、インドの消費者は健康と手間の少なさを同時に求めている。日本の食品・雑穀OEMは、原料だけでなく調理の手間を減らす形で提案する余地がある。
調理の手間が下がれば、家庭で雑穀を使う頻度が上がり、雑穀を使った加工食品の需要にもつながる。健康を軸にした中高年向けスナックのD2Cのように、雑穀は用途を広げやすい素材で、家庭内調理の機械化はその裾野を支える。
雑穀ロティ製造機の意匠特許は、健康志向の食材を家庭に定着させる鍵が調理の手間にあることを示した。インドで雑穀や乾燥食品を扱う日本企業は、原料の供給に加えて、下ごしらえや調理を省ける形で商品を設計し、家庭の調理負担を減らす提案から現地パートナー探しを始めるのが次の一手になる。