インドの外食企業Bastian Hospitality(ムンバイ)が、同市ヴェルソヴァに「The Blondie House」を開いた。業界メディアRestaurant Indiaが2026年9月25日付で伝えている。入っているのは新ブランドではない。同社がすでに動かしているカフェ「Blondie」と、インド料理のカフェ「Janu」を、複数フロアの1棟に寄せた店だ。抹茶の「おまかせ」と、女性が率いる事業と組んだ物販も同じ建物に入る。インドで店を持つ、あるいは原料や器を売りたい日本企業が読むべきは開業そのものではなく、1つの住所にいくつの用途を載せられるかという判断のほうだ。
起点記事が挙げる構成は、終日営業のカフェとベーカリー、抹茶専用の「Matcha Omakase」、共用スペース、物販だ。共同テーブル、選書した書架、フォトブース、自社グッズもある。ワークショップや朗読会、小規模イベントにも使うという。書架は韓国と日本の作家を中心に組み、読書会の開催も計画されている。
料理はBlondieとJanuから選んだ品に、この店のために作った品を足した構成だ。ミソバターを添えた卵料理、焼きうどん、ラージ・カチョリ、トリュフチーズのドーサが同じ品書きに並ぶ。味噌を使ったクロワッサン、ユズやサクラの名を冠した飲料も入る。内装は日本のもてなしと北欧デザインを混ぜ、コーヒー機はLa Marzocco Stradaをこの店専用に特注したという。
物販の中身は手づくりの陶器、女性生産者を経由して調達したコーヒー豆のブレンド、抹茶、グラノーラだ。ここは言い方を正確に取る必要がある。起点記事の書き方は「女性が率いる事業と共同で開発した商品」で、他社商品を委託で置く棚ではない。
Blondieの立ち上げは2025年4月2日付の報道で確認できる。ムンバイのカールに開いたスペシャルティコーヒーの店で、Natasha Hemani氏らが率いる体制だった。当時の記事は鹿児島産のセレモニアルグレード抹茶を使う抹茶バーを「ムンバイで初の形態」と紹介し、豆はカルナータカ州チクマガルール産を挙げている。2026年3月には配達をSwiggyとZomatoで始めた。なお所在地は2025年の記事が「カール」、2026年の記事が「バンドラ」で、同じ媒体内で表記が揺れている。住所は店に直接当たったほうが早い。
Januは「Janu by Blondie」として2026年7月15日にジュフ・タラ通りで開業した。ここを日本料理の店と読み違えると設計を読み損なう。品書きはラージ・カチョリ・チャート、黒豆のダール、アップル・ジャレビで、インド料理を現代のカフェに寄せた構成だ。開発にはBastianの陣容と、同社の共同創業者である俳優のShilpa Shetty氏が関わったと報じられている。抹茶とコーヒーの持ち帰り品を売る物販コーナーも、この時点で入っていた。The Blondie Houseの物販は新しい発明ではなく、7月に始めた売り方の延長線上にある。
| 店・施設 | 場所 | 時期 | 確認できた性格 |
|---|---|---|---|
| Blondie | ムンバイ(カール/バンドラ表記) | 2025年4月報道 | コーヒーと抹茶のカフェ |
| Janu by Blondie | ムンバイ・ジュフ・タラ通り | 2026年7月15日開業 | インド料理の終日カフェ、物販コーナー付き |
| Maison Twenty-Seven | アーメダバード空港第2ターミナル隣接 | 2026年5月21日夕食営業開始 | 52,000平方フィートの多用途施設 |
| The Blondie House | ムンバイ・ヴェルソヴァ | 2026年9月25日報道 | Blondie+Januを複数フロアに |
用途を積む手自体は、この会社にとって今回が初めてではない。2026年5月にはアダニ・エアポート・ホールディングスと組み、アーメダバード空港の第2ターミナル隣接地に「Maison Twenty-Seven」を開いて5月21日から夕食営業を始めている。広さは52,000平方フィート(約4,830平方メートル)で、飲食にウェルネスと共同作業スペースを載せ、予約と日単位の入場券で使わせる形だ。ヴェルソヴァで起きたのは、空港でやった積み方を街区の規模に落とし込んだ動きに見える。
もう一つ効いているのは立地だ。Blondieのカール/バンドラ、Januのジュフ・タラ通り、The Blondie Houseのヴェルソヴァは、いずれもムンバイ西部の海側に連なる地区にある。都市を広く取るのではなく、同じ通勤圏に別の顔の店を重ねている。新しい店の型を最初にどこで試すかという判断は、ORRAが新コンセプト1号店を州最大モールに置いた事例と並べると輪郭が出る。ORRAは地方中核都市の大型モールで試し、Bastianは既存客が歩ける距離に置いた。前提にしている資産が違う。
Bindra氏は起点記事で、The Blondie Houseを「単一の食事や機会によって定義されず、人々の日常の一部になる空間」を作る試みだと述べ、Blondieのコーヒーと抹茶、Januのインド料理への大胆な解釈を同じテーブルに持ち込むものだと説明している。BlondieのブランドディレクターNatasha Hemani氏は、抹茶を1杯飲みに来てそのまま仕事をし、本を手に取り、写真を撮り、あるいは何もせず座っていられる状態を望むと述べた。
加えてRestaurant India自身が7月のJanu記事で、飲食・飲料・物販を1か所に混ぜる終日型はインドのカフェ市場で広がっている流れだと書いている。今回の開業を業界初の発明として扱わないほうが、判断を誤らない。
この店で日本由来の要素は、料理のジャンルではなく素材と作法として入っている。Matcha Omakaseは点て方、味の組み合わせ、出し方の作法を含む形態だと説明されている。抹茶を1杯の飲料として売れば価格はコーヒーと比べられるが、手順と説明を伴う体験として出せば比較の軸が変わる。抹茶や茶器、茶筅を扱う日本企業の売り口は、原料を安く入れる側ではなく出し方まで含めて渡す側にある。
もう一つは調味料としての入り方だ。ミソバターの卵料理、味噌を使ったクロワッサン、ユズの名を冠した飲料——いずれも日本料理の枠ではなく、インドのカフェの品書きに部品として入っている。日本の調味料メーカーが当面狙えるのは、和食店への納入よりも、こうしたカフェの開発担当と一緒に1品を作る仕事だ。既存の客に選択肢を1つ足す売り方なら、BOSS Burgerがパスタを配達メニューに足した事例のほうが近い。
起点記事は面積、投資額、席数、価格帯、正式な開業日、営業時間のいずれも書いていない。商談の前提を作るなら自分で埋める必要がある。確認できているのは下の範囲までだ。
| 項目 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 運営 | Bastian Hospitality(創業者Ranjit Bindra氏、共同創業者にShilpa Shetty氏) |
| 構成 | 終日カフェ/ベーカリー/Matcha Omakase/共用スペース/物販 |
| 物販の性格 | 女性が率いる事業との共同開発品、女性生産者経由のコーヒー豆 |
| 展開範囲 | 2026年5月時点でムンバイ・プネ・ベンガルール、アーメダバードに進出 |
| 記事に無い情報 | 面積・投資額・席数・価格帯・営業時間・正式開業日 |
多ブランドを持つ運営会社は、計画段階の発表と実際の開業を分けて追う必要がある。Jakhar Hospitalityが新ブランド4つとデリー進出を計画した事例のように、名称も立地も未定のまま数だけが出る発表もある。今回は開業済みで、入っている要素も列挙されている。次の一歩は、Bastian Hospitalityの物販・調達担当に棚の選定基準——共同開発が前提か、ロットと納品形態、女性が率いる事業という条件の定義——を1通で問い合わせ、自社の抹茶・調味料・器のうちどれが該当するかを確かめることだ。