美容特化の即配プラットフォームFiriが、2026年9月16日、シードで300万ドル(約4.6億円、2026年9月時点・$1≈¥155換算/報道では約₹28.8 crore=2億8800万ルピー)を調達したと報じられた。主導したのは360 ONE Assetで、Better CapitalやCRED創業者のKunal Shah氏らも参加した。創業したのは元Uberインドの幹部Karishma Rathaur氏とVivek Madani氏。誰が・いくらを・何のために集めたのかが明確な資金調達で、コスメを即配で売る絞り込み型のモデルは、日本の化粧品ブランドがインドの流通導線を考える材料になる。
Firiは2026年6月に法人化され、同年前半のパイロットを経て本格展開に入った。今回の300万ドルは、カテゴリ拡張と、AIを軸にした商品発見・フルフィルメントの開発に充てるとしている。配送はグルガオンの一部で最短9分をうたい、現在の取り扱いはスキンケア・ヘアケア・ボディケアが中心。ここからメイクアップやフレグランスなどへ品目を広げる計画だ。調達額の原単位は300万ドル、円換算で約4.6億円($1≈¥155)、報道が併記したルピー額は約₹28.8 crore(2.88億ルピー、1 crore=1000万)である。
Firiの創業者2人は、いずれもUberインドで配車の運用を経験した。人と物を短時間で動かすオペレーションの知見を、美容という単価が比較的高く選択に迷いやすいカテゴリに持ち込んだ形だ。Firiは、AIで5000万件超のレビューを分析し、世界に30万点超あるとされる美容品から約3000点に絞り込んだと説明する。膨大な選択肢を減らして「迷わせない」ことを、速さと並ぶ価値に据えている。
Firiは、平均注文額(AOV)がNykaaやTiraといった大手オンライン美容小売の公表値のおよそ2倍だと主張している。品目を3000点に絞ることで、在庫と配送の負荷を抑えつつ、選ばれやすい商品に注文を集める狙いだ。数分単位の配送と、レビュー分析による目利きを組み合わせることで、衝動的な少額購入ではなく、まとまった買い物を短時間で完結させる設計を取っている。
Kunal Shah氏をはじめ創業者・実務家が名を連ねた点は、オペレーション重視のモデルへの期待を映す。一方で、最短9分という数字はグルガオンの一部での実績として語られており、都市全体や他都市での再現性はこれからだ。カテゴリ特化の即配が、総合プラットフォームの速度と品揃えにどこまで対抗できるかが、次の焦点になる。
日本の化粧品ブランドがインドで配荷を急ぐなら、Firiのような絞り込み型の即配は、総合ECとは別の入り口になる。3000点に絞った棚では、レビューの評価と回転が採用の基準になりやすく、数を並べるより「選ばれる理由」を1品ごとに用意する必要がある。Yves RocherがNykaaと組んで入った事例や、クイックコマースが美容配達へ広がる流れを踏まえ、まず即配の棚で回る少数精鋭の品目を見極めるのが現実的だ。
10分前後の配送を武器にした事業は、食品雑貨から美容へと枝分かれしている。Swishが10分フード配達に全振りした動きと同様、Firiはカテゴリを美容に絞ることで、大手が薄く広く取る領域に深さで対抗しようとしている。
Firiは、元Uber幹部の運用力とAIの目利きを組み合わせ、美容を約3000点に絞って最短9分の即配を仕掛けた。日本の化粧品勢がこの流通に乗るなら、全ラインを卸すより、レビュー評価と回転で選ばれる少数品目を先に固め、絞り込み型の棚で回る形を作ってから拡張するのが順序だ。まずは即配で勝てる1~3品を定め、その1品ごとに選ばれる理由を用意することから始めたい。