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インドニュース2026.09.24

G-SHOCKインドの新作フィルム、製品も顔も既存のままで撮った

本記事は2026年9月24日時点で確認できたインド現地の公的資料・報道をもとに作成しています。インドは税制・規制の改正が頻繁で、記載内容がその後変更されている場合があります。実際の事業判断にあたっては、所管省庁・現地の専門家など一次情報源で最新の内容をご確認ください。

G-SHOCKが、ブランドフィルム『Unfazed by Time』を公開した。出演は俳優ヴィッキー・カウシャル、訴求製品は2100コレクションの解釈版である「LUXE BLACK」シリーズ、制作はDucktape Studios、監督はRaylin Valles。広告専門媒体Campaign Indiaが2026年9月21日に報じている。新しい製品ラインも新しい顔も立てずに一本を成立させた構成で、インドで人物を立てて広告を打つ日本ブランドには、年次更新にどこまで製品開発を伴わせるかを考える材料になる。

2025年の『Rise Above the Shocks』から何が入れ替わったのか

カウシャルを立てたG-SHOCKインドのフィルムは今回が初めてではない。2025年6月18日に現地媒体が伝えた一本は『Rise Above the Shocks』で、中心に据えた製品は初代G-SHOCKを現代化したDW-5000R、併せてGA-2100、DW-5600、GA-110が登場している。制作はMethod Productions、監督はJohn Fredrick Peter氏だ。今回は製品がLUXE BLACKシリーズに、制作陣がDucktape StudiosとRaylin Valles監督に、キャンペーン名も『Unfazed by Time』へ入れ替わった。

据え置かれたのは俳優である。カウシャルはカシオインディアが2023年12月に配信したリリースでもブランドアンバサダーとして紹介されており、今回の発表を伝えた記事本文も「ambassador Vicky Kaushal」と書いている。

項目 2025年6月『Rise Above the Shocks』 2026年9月『Unfazed by Time』
出演 ヴィッキー・カウシャル ヴィッキー・カウシャル
訴求製品 DW-5000R(GA-2100、DW-5600、GA-110も登場) LUXE BLACKシリーズ(2100コレクションの解釈版)
制作 Method Productions Ducktape Studios
監督 John Fredrick Peter Raylin Valles
最も早く確認できた掲載 2025年6月18日・MediaBrief 2026年9月8日・Fashion Value Chain

意図は本人たちの言葉で残っている。カシオインディアでマネージングディレクターを務めるTakuto Kimura氏は「G-SHOCK has always evolved by staying true to its core while finding new ways to connect with changing generations」と述べ、今回はその考え方を、いまの人が自分と周囲をどう見ているかに合う形で表現したいと続けている。カウシャル本人は「What I connect with most about ‘Unfazed by Time’ is the idea of not letting external circumstances define who you are」と語った。フィルムは、緊張や混乱、対立の場面を通りながら主人公が動じないまま進む構成だと各記事が伝えている。

訴求製品は新ラインではなく既存2100コレクションの解釈版

製品面で書かれているのは、LUXE BLACKが2100コレクションの解釈版で、八角形のシルエットを保ったまま深いマットブラックに控えめな金属の差し色を置いた構成だという点だけだ。新しいモデルラインやムーブメントの発表は伴っていない。価格、発売日、日本を含む他国での展開に触れた記述も、今回読んだどの記事にもない。

つまり製品側は既存コレクションの仕上げ変更にとどまり、入れ替わったのはフィルム・制作会社・監督・キャンペーン名という広告側の要素だ。ブランドの年次更新を、新製品の開発サイクルを待たずに回せる形になっている。インド向けの発信を年1回のペースで積み上げたい日本ブランドにとって、既存品の色出しと撮り下ろしで一年分の話題を作るという配分は、製品開発の順番待ちで発信が止まる状況への現実的な対処になる。

ブランドの年表を引くときは発表元と時点を控えておきたい。カシオインディアの2023年のリリースは、1981年に耐衝撃時計を目指すProject Team Toughが発足し、約2年で200を超える試作を重ねたと書いている。製品化の年は、同リリースが「Envisioned in 1983」、業界紙The Hans Indiaが「Launched in 1983」と書く。1981年は着手の年で発売年ではない。累計販売数は、2023年12月のカシオインディアのリリースが「100カ国で1億本超」、2025年6月のThe Hans Indiaの地の文が「140カ国で1.5億本超」で、後者はブランドの発表ではない。取引先ブランドの累計実績を自社資料に転記するなら、どの発表元の何年時点の数字か控えておきたい。

同じ発表の掲載日は9月8日から9月21日まで13日ばらけた

発表日そのものは、どの媒体も書いていない。確認できたのは掲載日で、最も早いのはFashion Value Chainの2026年9月8日、次がAdvertising Reporterの9月11日、Campaign Indiaは9月21日である。最初と最後で13日の開きがある。

インドの広告媒体を日本側から定点観測するとき、この幅は実務に響く。掲載日を発表日として扱えば競合の動きの把握が2週間遅れ、同じ発表を別案件として二重にカウントする事故も起こる。拾った記事の同じ文面が先にどこへ出ていたかを一度さかのぼれば避けられる。

マクダウェルズ・ソーダもカルティク・アーリヤンを残し、缶とトーンだけ替えた

看板俳優を据え置いて周りを更新する判断は、2026年9月のインドで別のカテゴリーにも出ている。ディアジオ・インディア傘下のマクダウェルズ・ソーダは9月17日、長く続けてきた「ヤーリー(友情)」プラットフォームを『Yaari Ki Nayi Vibe』として刷新した。残したのは友情というテーマ、長年のブランドアンバサダーであるカルティク・アーリヤン、ブランド音楽の骨格で、入れ替えたのは缶のビジュアルとトーンだ。何を残し何を替えたかの内訳はマクダウェルズ・ソーダが長年の「友情」を捨てずに刷新した一手にまとめた。G-SHOCKが俳優を残して製品・制作陣・キャンペーン名を替えたのに対し、マクダウェルズはプラットフォーム名「ヤーリー」を看板に残している。据え置く対象に名前を含めるかどうかで、2社の判断は分かれた。

人物起用には別の軸もある。起用する顔を全国区にするか地域単位にするかという軸で読むなら、D2C乳製品のカントリー・デライトが9月18日に出したCMが対照になる。南インドで支持の厚いヴィジャイ・セードゥパティを父親役に立て、タミル語のタグライン「Pazhaya Pazhakkam. Puthiya Thodakkam」で南インドに照準を合わせた組み立てはカントリー・デライトが南印スター起用で「子供時代の味」を売った事例で扱った。毎日買い替える牛乳と腕時計では商材の買われ方が違う。据え置きの軸と地域の軸のどちらを先に決めるかは、自社商材がどちらに近いかで変わる。

G-SHOCKインドは広告以外も動かしている。同じ2026年にはムンバイの路面一等地に旗艦直営店も構えた。広告で顔を据え置き、売り場で立地を足す。人物起用を単体で評価する前に、同じ年に同じブランドが動かした打ち手を並べて確認したい。

参照元

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