インドの化粧品ブランドRecode Studios(Recode Studios Limited)が、2026年9月11日、Nykaaの60分配送サービス「Nykaa Now」を通じてクイックコマースに参入した。対象は主要7都市。新たな倉庫や配送網を自前で抱えず、Nykaaの既存の供給・物流に相乗りする形で即配チャネルを持った点が特徴だ。設備投資を抑えて配達スピードだけを取りにいく参入手順は、インドで美容・日用品を売りたい日本企業が販路を組む際の実務モデルになる。
Recodeは自社商品を、Nykaaの60分デリバリー「Nykaa Now」に載せ、主要7都市で提供を始めた。会長兼マネージングディレクターのDheeraj Bansal氏は、資本の投下を抑えつつ、より広く多様なオムニチャネルの流通網を築く方針だと述べている。あわせてRecodeは、B2B卸のNykaa Superstoreを使ってTier2・Tier3市場への浸透も強めており、即配と卸の両面でNykaaのインフラを活用する構えだ。会社側はこの拡大を通じて、FY27以降におよそ50%の売上成長を狙うとしている。
クイックコマースは、ダークストアや在庫を自前で構えると初期費用がかさむ。Recodeが選んだのは、その重い部分をNykaaに委ね、自社は商品供給に集中する形だ。既存の供給・フルフィルメント基盤を借りるため追加投資は不要と説明されており、資本を絞りながら配達スピードという新しい体験だけを顧客に届けられる。美容ブランドが単独でダークストア網を組むより、確立された即配プラットフォームに載る方が、都市ごとの立ち上げ速度で優位に立てる。
Recodeの動きは、都市部の即配だけで終わっていない。60分配送で7都市の需要に速く応えつつ、B2B卸のNykaa Superstoreで地方の小売店の棚を取りにいく。前者は「今すぐ欲しい」層、後者はTier2・Tier3の広い商圏を押さえる役割で、同じNykaaの基盤を二方向に使い分けている。1社のプラットフォームを即配と卸の両輪に活用する設計は、限られた資本で配荷を広げたいブランドの現実解になる。
Bansal氏は、資本の投下に規律を保ちながら流通網を広げる姿勢を強調した。今回の発表で明かされたのは都市数と成長目標の枠組みで、対象7都市の具体名やRecodeの品目数は示されていない。美容ブランドが即配プラットフォームを新チャネルとして使う流れは続いており、自前で物流を抱えずスピードを得る手法が、資本効率を重んじる中堅ブランドの選択肢として広がっている。
日本の化粧品・日用品メーカーがインドで配荷を急ぐなら、Recodeの型は「自前の店舗網や物流を組む前に、既存の即配・卸プラットフォームに載せられないか」を先に問う。Yves RocherがNykaaと独占提携でインド初上陸した事例や、クイックコマースがファッション・美容配達へ広がる動きは、Nykaaのような基盤を入り口に使う道を示す。まず配荷スピードだけをプラットフォームで確保し、ブランドの認知が育ってから直営接点を足す順序が、資本の無駄を減らす。
食品雑貨から始まった即配は、美容・日用品まで売り場を広げている。BlinkitやZeptoが10分配送を武器に伸びる流れのなかで、Nykaaのようにカテゴリ特化の即配を持つ事業者が、ブランドにとっての新しい入り口になりつつある。
Recodeは、自前の物流を抱えず、Nykaaの60分配送と卸基盤に相乗りして販路を広げた。インドで美容・日用品を売りたい日本企業がまず取るべき一手は、ダークストアを自社で構える前に、Nykaaのような既存プラットフォームへ主要品目を載せ、都市を絞って即配の反応を測ることだ。手応えのある都市とカテゴリが見えてから、投資の重い自前接点に踏み込めばよい。