デンマークの玩具ブランド レゴが、南インドの IT 都市ベンガルールの大型商業施設 Phoenix Marketcity に約4,000平方フィート(約372平方メートル)の大型フォーマット店を開いた。単に商品を並べる店ではなく、組み立てや遊びを通じた体験そのものを売り場に持ち込み、家族連れやコレクター、玩具愛好家を呼び込む設計だ。玩具という「触って試したい」カテゴリを、モールの高集客立地で体験型に振り切る外資の入り方は、日本の玩具・雑貨・キャラクター商品がインドで棚を取るときの立地と売り場づくりの手がかりになる。何が起きたのかを報道で確認できた範囲で整理する。
Indian Retailer(2026年9月1日)によると、レゴの新店はベンガルールの Phoenix Marketcity 低層階(Lower Ground Floor)の小売区画に位置し、面積は約4,000平方フィート。建物内では Next、Levi’s、Bose といった海外ブランドと同じ区画に並ぶ。店は建築セットやテーマ別コレクションを実際に手に取れる場として設計され、創造性と「遊びを通じた学び」を体験できるインタラクティブな売り場をうたう。運営主体やインド国内の店舗数、投資額は報道では明示されていない。
インドでは都市部の可処分所得の伸びとともに、モールが単なる買い物の場から一日を過ごす体験の場へと役割を変えつつある。Phoenix Marketcity のような高集客モールは、体験型の大型店を核テナントに据えて滞在時間と回遊を伸ばす戦略を取る。玩具は子ども自身が触り、親が納得して買う商品で、オンラインだけでは伝わりにくい。レゴが大型フォーマットで体験に投資したのは、この「触れて選ばせる」需要をモールで取りにいく動きと読める。
今回の店は、面積を広く取って建築セットとテーマ別コレクションを見せ、来店客がその場で組み立て・遊びを体験できるようにしている。玩具の価値は完成品の見た目だけでなく、作る過程の楽しさにある。そこを売り場で再現できるかどうかが、体験型店の成否を分ける。海外ブランドが集まる区画に置くことで、モール全体のブランド集積を借りて富裕・中間層の動線を押さえる立地判断も、体験型カテゴリでは重要になる。
Indian Retailer は今回の出店を、レゴがインドでより広い消費層に届くための高集客立地における体験型出店として位置づけている。記事内で強調されているのは「創造性と遊びを通じた学び」を軸にした売り場づくりで、売上目標や国内総店舗数といった数値は示されていない。ここでは公表された範囲を超えた反応や成果の断定は置かず、体験型の大型店を高集客モールに据えたという事実にとどめて読む。
玩具や雑貨、キャラクター商品のように「触って試したい」カテゴリは、オンライン先行のインドでも体験型のリアル店が効く。すでにインドでは靴やガジェットで、その場で試作・パーソナライズさせる体験型旗艦店が主要都市に増えている。詳しくは Converseがベンガルールに国内最大店を開いた靴を自分でつくる売り場 や Nothingがベンガルールに開いた製品パーソナライズ旗艦店 が手がかりになる。小型でも「見て触れる」体験に振った店を面で展開する手法は Livpureの小型体験店 の例が分かりやすい。日本のブランドは、輸出でオンライン販売を先に固めるより、高集客モールの体験店で世界観を伝える設計を並走させる余地がある。
体験型の大型店がモールの核テナントとして評価される流れは、ベンガルールに限らずインドの主要都市で強まっている。ノイダのコンセプト店に代表される「見せる店舗」への投資は、モール側が滞在時間を伸ばすために体験型テナントを優遇する構図と結びつく。日本のブランドがモールと交渉する際も、面積あたりの売上だけでなく集客・回遊への貢献を示せるかが条件になりつつある。参考として New Balanceのインド初コンセプト店 の設計も見ておきたい。
レゴの大型フォーマット店は、玩具のような体験価値の高いカテゴリを高集客モールの体験店で取りにいく典型例だ。日本の玩具・雑貨・キャラクターブランドが動くなら、最初の一手は全国展開の前に、主要都市の集客モール1館で体験できる売り場を1店だけ作り、来店客の反応と回遊への貢献を実地で測ることを勧めたい。数字が取れてから面展開の交渉に進むのが堅い。