会話AIのHaptikを創業したAakrit Vaish氏が、2026年9月16日、自身のベンチャーファンド「Activate」の初号ファンドを1億500万ドル(約163億円、2026年9月時点・$1≈¥155換算/報道では約₹1,000 crore=100億ルピー)で組成したと報じられた。共同創業者は、Together Fund出身のPratyush Choudhury氏。誰が・いくらの資金を・どの段階のAIスタートアップに配るのかが明確なファンド組成で、創業者から投資家へ転じてAIの最初期に張る動きは、インドのAI企業と組みたい日本企業が資金と人の流れを読む手がかりになる。
Activateの1億500万ドルは、8500万ドルの最初期向けファンド「Inception」と、2000万ドルのグロース枠で構成される。2025年12月に7500万ドルで第一次クローズを終えており、立ち上げから1年以内での組成となった。投資先はプレシード・アイデア段階のAIネイティブ企業で、AIアプリケーション、基盤モデル、物理インフラにまたがる。対象は25~30社、1件あたりの投資額は50万~300万ドルの範囲を想定する。原単位は1億500万ドル、円換算で約163億円($1≈¥155)、報道が併記したルピー額は約₹1,000 crore(100億ルピー、1 crore=1000万)である。
Vaish氏は、対話AIのHaptikでCEOを務めた実務家だ。事業を作り、売却まで経験した創業者が、今度は資金の出し手として最初期のAI企業に張る。Activateはすでに、消費者向けAI・AIを使ったサービス・フロンティア技術の領域でステルスの初期企業7社に投資し、グロース枠ではSarvam AI、ElevenLabs、Wispr Flowに出資している。作る側の視点を持つ投資家が、まだ形になる前の段階から関与する構図だ。
1件あたり50万~300万ドルという投資額は、シリーズ以降の大型出資ではなく、会社が形になる前の最初期を押さえる設計だ。25~30社に分散することで、当たり外れの大きい最初期の投資を数で吸収する。LPには、Vinod Khosla氏やGeneral Catalyst、Vijay Shekhar Sharma氏に加え、50人を超える創業者やAI研究者、十数人のグローバルVCのゼネラルパートナー、50を超えるファミリーオフィス・企業が名を連ねる。作り手のネットワークを資金の裏側に厚く持つ点が特徴だ。
Activateは、NVIDIA、OpenAI、Anthropic、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureとの連携や、1万5000人超の技術者が集うGenAIコミュニティを背景に置く。創業者・研究者を軸にしたLP構成と合わせ、資金だけでなく人と技術のネットワークで初期企業を支える座組みだ。最初期に絞る戦略が、どれだけの企業を次の段階へ押し上げるかは、これからの投資実績で測られる。
日本企業がインドのAIに関わるとき、Activateの型は「どの段階で、誰の網を通じて入るか」を突きつける。最初期のAI企業は、資本だけでなく作り手のネットワークで選別され、育てられる。日系VCが会社設立前から囲い込むインド大学攻略や、メタがCREDに出資して創業者ごと取りにいった動きは、資金の額より「誰と組むか」で初期の関係が決まることを示す。日本企業は、出資額の交渉より前に、こうした創業者網への接続点を確保する発想が要る。
最初期のAI企業に資金が回ると、その周辺のAI受託やSaaSにも案件が広がる。元InfosysトップのAI受託やインドSaaS RocketlaneのシリーズCのように、ファンドの動きは日本の発注・提携先となりうる企業群の裾野を厚くする呼び水になる。
Vaish氏は、Haptikで培った作り手の視点を投資に持ち込み、1億500万ドルで最初期のAI企業25~30社に張る座組みを整えた。日本企業がインドのAIと組むなら、大型出資の条件交渉に先んじて、こうしたファンドや創業者コミュニティへの接続点を一つ作り、まだ形になる前の企業に早く出会える立ち位置を取ることが先決だ。まずはActivateのような最初期ファンドの投資先領域を見て、自社と重なる技術テーマを一つ定めることから着手したい。