インド・チェンナイ拠点のSaaSスタートアップRocketlaneは2026年3月25日、シリーズCラウンドで6,000万ドル(約90億円)を調達したと発表した。リード投資家はInsight Partners(米国のVC/PEファーム)で、累計調達額は1億500万ドルに達した。AIを活用したB2B業務自動化プラットフォームとして、グローバルのエンタープライズ市場で急速に存在感を高めている。
Rocketlaneとは——AIで「プロジェクト管理」を再定義するインドSaaS
Rocketlaneは企業向けのProfessional Services Automation(PSA)プラットフォームを開発・提供するスタートアップだ。クライアントプロジェクトの管理(タスク・スケジュール・コミュニケーション・ドキュメント共有)を一元化し、サービス業務の自動化・効率化を実現する。
2023年から2026年にかけての成長指標:
- 売上高:直近1年で2倍以上に成長
- 顧客数:750社以上(Forbes Cloud 100企業17社を含む)
- 平均ディール規模:2023年比4.5倍
競合はServiceTitan、Certinia(旧FinancialForce)、Teamworkなどの欧米SaaSプレイヤーだが、Rocketlaneはプロジェクト管理×AI自動化に特化することで差別化している。
シリーズCの資金使途——エージェントAI「Nitro」を軸にグローバル展開
今回調達した6,000万ドルは主に以下の用途に充てられる。
1. エージェントAI基盤「Nitro」の機能拡張
Rocketlaneが新たにリリースした「Nitro」は、プロジェクト管理業務をAIエージェントが自律的に実行する基盤だ。ステータス更新の自動生成、リスク予測、クライアントへの報告書作成などをエージェントAIが担う。「人がやっていたルーティン業務をエージェントに任せ、人間はより高付加価値な判断に集中する」というコンセプトだ。
2. グローバル営業拠点の強化
ロンドン・ニューヨーク・サンフランシスコのオフィスを拠点に、欧米エンタープライズ企業への営業を強化する。B2BSaaS市場ではエンタープライズ契約1件あたりの年間契約金額(ACV)が大きく、少数の大型顧客でも売上に大きなインパクトを与える。
3. R&D:予測型AIと自動化機能の深化
プロジェクト遅延の予測、リソース配分の最適化、顧客満足度スコアの自動算出など、予測型AIの機能開発に投資を続ける。
なぜ今、インドのB2B SaaSが世界から資金を集めるのか
インドのSaaS産業は2026年時点で大きな転換点を迎えている。Freshworks、Zoho、Darwinboxなど「インド発グローバルSaaS」の成功事例が確立されたことで、「インドはソフトウェアのコモディティ供給地」という過去のイメージが変わりつつある。
投資家の視点からは以下の要素が魅力とされる:
- コスト優位性:世界水準のエンジニアを米国の1/3〜1/4のコストで採用できる
- 英語対応力:グローバル市場に直接展開できる英語ファースト開発体制
- ITサービスの地政学的需要:脱中国・脱ロシアの文脈でインドへのIT発注が増加
Insight PartnersはSalesforce、HubSpot、Twitterなどへの早期投資で知られるVCであり、Rocketlaneへの投資は「インドB2B SaaSのグローバル展開可能性」への確信を示している。
日系企業にとっての示唆——インドSaaSの活用とビジネス機会
Rocketlaneのようなインド発B2B SaaSの台頭は、日系企業にとって2つの機会を示唆する。
1. 業務効率化ツールとしての活用
クライアントプロジェクト管理・コンサルティング・IT導入支援などのサービス業では、Rocketlaneのようなツールが業務標準化・効率化に直結する。既存の日本語対応SaaSより機能面で先進的なケースも多い。
2. インドSaaS企業との協業・代理店契約
グローバルSaaS企業が日本市場を開拓する際、現地代理店・パートナーを求めるケースが増えている。インドSaaS企業と早期に関係を築くことで、日本市場での独自ポジションを確立する機会になりうる。
関連記事:Swishが$38Mで「10分フード配達」に全振り、AnveshanがRs 150〜200億円の大型調達へ