ハイデラバード発のサステナブル靴ブランドNeeman’sが2026年9月、オンライン中心の売り方から実店舗へ本格的に軸足を移すと表明した。共同創業のTaran Chhabra氏(CEO)とAmar Preet Singh氏(COO)は、今後3年で全国500店・売上100億ルピー(2026年9月時点、₹1≈¥1.66換算で約166億円)を掲げる。ネット発のD2Cが店頭に降りる動きは、日本のアパレル・靴・生活用品ブランドがインドで販路をどう積むかを考える材料になる。
Indian Retailer(2026年9月17日)によると、Neeman’sは次の成長局面を実店舗の拡大に置くと宣言した。目標は3年で500店。売上は直近会計年度の185 crore(18.5億ルピー、約30.7億円)から、2027年3月までに350 crore(35億ルピー、約58.1億円)、3年内に1,000 crore(100億ルピー、約166億円)へ引き上げる計画だ。ここでの金額は原単位のルピーに、2026年9月時点の実勢である₹1≈¥1.66を掛けて円換算している。1 croreは1,000万ルピーで、日本語では0.1億にあたるため、185 croreを「185億ルピー」と読むのは10倍の誤りになる。数字を扱う際はこの桁を必ず確認したい。
Neeman’sは仕事・移動・普段使いをまたぐ日常履きに絞り、快適さと環境配慮を軸に売ってきたブランドだ。オンライン販売を主戦場に規模を作り、認知と初期の顧客基盤をデジタルで積み上げてきた。会社は快適さを引き続き商品戦略の中核に据えると説明しており、素材や履き心地という試着で伝わる価値を前面に出している。ネットで完結してきたブランドが、その価値を客に直接触らせる場を求めて店頭へ向かう流れだ。
靴は足入れと歩き心地を確かめてから買いたい商品で、画面だけでは伝わりにくい。返品やサイズ交換のコストもかさむため、試せる場を持つ意味は大きい。Neeman’sが実店舗に振るのは、快適さという触れて分かる強みを、買う直前に体験させる狙いがある。会社は技術・小売・実行体制への投資と、供給網の整備を進めると述べている。デジタルで作った需要を、全国の店頭で受け止める器へ組み替える段階だ。500店という規模は、直営とフランチャイズの内訳や出店都市の順序が今後の焦点になる。
185 croreから3年で1,000 croreへという目標は、単純計算で約5.4倍にあたる。店舗網の拡大に伴う出店費・在庫・人件費が先行し、黒字を保ちながら広げられるかが問われる。目標数値はあくまで会社が掲げた前提であり、現時点の店舗数や進捗の裏付けは公表の範囲では確認しきれない。ここでは断定を避け、「500店・1,000 croreを掲げた」という表明として押さえ、達成の可否は今後の開示で追う姿勢が要る。
Indian Retailerは、Neeman’sのオフライン転換を「次の成長局面」への布石として報じ、技術・小売・実行への投資と供給網強化を会社の方針として伝えている。売上目標と店舗数は経営陣の発言に基づく計画値で、達成時期や資金調達の裏付けは記事の範囲では明示されていない。開業実績や既存店の売上を示す第三者データもまだ出ておらず、ここでは方針表明の段階として扱う。
Neeman’sの動きは、ネットで需要を作ってから店頭に降ろす順番を検討する日本ブランドに直接効く。まず、D2Cが実店舗へ移る典型としてJoker & Witchが初の実店舗をベンガルール・ルルモールに開業が、10年オンラインで築いた後の一手を示す。次に、地方都市を先に取る出店術はNEWMEが1年で店舗倍増、Tier2都市を先に取る出店術が具体的だ。さらに、触って選ぶ靴という商品特性を売り場で活かす設計はConverseがベンガルールに国内最大店、靴を自分でつくる売り場へが手掛かりになる。日本の靴・アパレル勢は、ネットで検証した売れ筋を核に、試着体験を軸にした小型店から面を広げる順番が現実的だ。
デジタル発ブランドが小型店を一斉に並べる手法は、モールの区画や街区の路面に新たな需要を生む。狭い床面積で多店舗を同時に開く設計は350平米未満で17店一斉、Livpureが挑む「見て触れる」小型店が示す通りで、体験の提供と出店速度を両立させる型が広がっている。
Neeman’sは、185 croreの売上を3年で1,000 croreへ、店舗を500まで広げる計画を掲げてオフライン転換に踏み出した。日本のブランドがまず取れる一手は、ネットで確かめた売れ筋商品を数点に絞り、試着や触感を伝える小型店を一つ立てて客単価と再来率を測ることだ。そこで採算が読めてから、直営とフランチャイズの比率を決めて面展開に進む順番が、桁の大きい目標に振り回されない設計になる。