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インドニュース2026.09.25

airpayが14年で初の広告、『気づかれない決済』を4幕で描いた

本記事は2026年9月25日時点で確認できたインド現地の公的資料・報道をもとに作成しています。制度・価格・各社の方針は変更される場合があります。実際の事業判断にあたっては、所管省庁・現地の専門家など一次情報源で最新の内容をご確認ください。

インドの決済プラットフォーム airpay が、事業開始から14年を経て初の一般向けブランドキャンペーン「Invisible」を公開した。業界誌 Campaign India が2026年9月21日付で報じた。制作はムンバイの統合クリエイティブ代理店 ting で、映像はYouTubeで先行公開された。裏方のインフラ企業が初めて消費者の前に出るとき、何を主役に置くのか。インドでB2B事業を持つ日本企業にも同じ問いがある。

広告を出さずに14年、airpayが9月に公開した初のブランド映像

売りにしたのは「気づかれないこと」だった

Campaign India の記事によれば、映像は4幕で進む。始まりは決済が通るのを待つあいだの緊張で、そこから「忘れられること自体が達成になりうる」という主題へ転じる。中盤に並ぶのは日常の決済場面だ。海外からの旅行者が両替に迷わず自国通貨のまま会計を終え、オンライン会議と子どもの世話を行き来する母親が数秒で学費を払い、ブティックの経営者が催促せずに当日の入金を受け取る。終盤は裏側の基盤を見せ、規模の提示で終わる。決済の信頼性は成功したときに誰の記憶にも残らないという性質を、そのまま企画の軸に据えている。

初のブランドキャンペーンで「うちの技術はすごい」と言わない選択には、B2Bらしい筋が通っている。買い手が怖いのは失敗であって、機能の多さではない。

公開はYouTubeが先、そのあとOTTへ

公開面はYouTube先行で、そこからOTTへ広げる形だとされている。動画面から入る順番は、予算を絞るB2B事業には追いやすい。

Campaign India は airpay の営業市場を4つとし、インド・UAE・タンザニア・ザンビアを挙げている。OTT展開もこの4市場だと書かれている。一方、airpay のサイトに付いている国切替に並ぶのは UAE(airpay.ae)とタンザニア(airpay.tz)で、インドを含めて国別サイトは3つだ。国別サイトの数が営業国の数と一致するとは限らない。日本側の資料に「4カ国展開」と書くなら、報道の記載だと添えるか、airpay に直接確認しておきたい。

airpayが自社サイトで出している規模は30万店と500万人

lakh表記をそのまま読むと桁を取り違える

airpay のトップページには「Trusted by 3 Lakh+ Merchants」と「332 K+ Trusted merchants」が並ぶ。インドの数詞は lakh が10万、crore が1,000万なので、3 lakh は 3×100,000=300,000、つまり30万店。「332 K+」は33万2,000以上で、同じ規模の別表記だ。会社概要ページの「50 * LAKH Consumers」は 50×100,000=5,000,000、すなわち500万人になる。

lakh や crore は金額だけでなく人数・件数にも付く。日本語資料で「3 lakh=3万」と読み替えると、1桁小さい会社として社内に伝わる。筆算でゼロを数える手間は惜しまない。

村と県の数まで出すのは、対面の決済網を持っているから

会社概要ページには、村13万6,676以上、県(district)557以上、州・連邦直轄領35以上、金融機関200以上、従業員800人以上という数字が並ぶ。オンライン決済専業なら加盟店数と流通総額を出すところを、airpay は到達範囲で見せる。POSやQRの対面商品と、協同組合銀行のUPI対応のような金融機関案件を持つ構成が、この見せ方に表れている。

項目 airpayの原文表記 日本語での桁(筆算)
加盟店 3 Lakh+ / 332 K+ 3×10万=30万店、332K=33万2,000店
消費者 50 * LAKH Consumers 50×10万=500万人
対象の村 136,676 + Villages 13万6,676以上
対象の県 557 + Districts 557以上
金融機関 200 + Financial Institutions 200以上

インド企業の資料から金額を引くときは、原文の crore / lakh 表記を残し、円換算するなら為替レートの基準日を併記しておきたい。

創業者と代理店はなぜ「大声で言わない」を選んだのか

創業者のコメントは、そのまま営業姿勢の説明になっている

Campaign India に載った創業者兼CEOの Kunal Jhunjhunwala 氏のコメントは、事業を始めたときの優先順位が「どれだけ声高に語るか」ではなく「何を届けたかで信頼を得ること」だったという趣旨だ。市場をまたいで基盤を積み上げることに集中してきたとも述べ、広告を出さなかった14年を出遅れとして語り直すのではなく、方針だったと位置づけている。

制作側は、社名を最後に出す順番を選んだ

ting のパートナー Aadil Mehta 氏は、長年あえて裏方にいた事業が相手だった点を挙げ、観客がまず映像の中に自分を見つけ、その流れで airpay を知る形にしたかったと述べている。普通の人間的な反応を軸に組み、そこから基盤と人の規模を少しずつ見せる順番にしたという。ting は2009年設立、ムンバイ本社で、チェンナイ・ロンドン・ドバイなどに拠点を持ち、525人以上が在籍すると自社サイトに記載がある。

これまで表に出ていた言葉は、提携リリースと実務ブログだった

airpay のメディアセンターに並ぶのは、2026年3月のマハラシュトラ州協同組合銀行とのUPI提携をめぐる報道4本だ。ブログ側も「UPI AutoPayとeNACHはどちらを使うべきか」(2026年9月22日付)のような実務記事が中心だ。表に出る言葉が機能説明と手続き解説に寄っていた会社が、初のブランド映像で摩擦のなさを主題にした流れは一本につながっている。

日本のB2B企業は、自社の技術ではなく顧客の1日を撮れるか

技術の説明をやめたとき、手元に何が残るか

日本のB2B企業の周年広告は社史や技術年表に寄りがちだ。airpay が選んだのは逆で、顧客が自社の存在を意識していない瞬間を並べた。ブリヂストンのインド30周年フィルムは創業者の社是を起点に据えており(ブリヂストン印30周年のフィルム、創業者の社是を起点に据えた)、airpay は社史側をほぼ語らずに顧客の場面へ振った。自社に「語れる社史」と「語れる使用場面」のどちらが厚いかで決まる話だ。

誇張しない語り口は、素材が積み上がっている会社だけが選べる

何も起きない場面で映像を成立させるには、実際の使用場面が手元にあるのが前提だ。既存の製品と既存の顔で撮り切った G-SHOCK インドの例(G-SHOCKインドの新作フィルム、製品も顔も既存のままで撮った)と同じで、足し算をやめられるのは引き算に耐える中身がある場合だけだ。日本企業がインドで同じ手を使うなら、現地の導入事例を映像に耐える粒度で集める作業が先に来る。

敵を作る広告と、無風を描く広告の使い分け

インドのB2B広告には、対立を立てて記憶させる型もある。物流の Porter は jugaad(その場しのぎのやりくり)を否定する形で自社の価値を出した(物流Porterが「jugaad」を敵に回した広告、なぜやりくりを否定したのか)。airpay は否定する相手を立てず、何も起きない状態そのものを見せた。慣習を敵にすると刺さりは強いが、その慣習を今も使う見込み客も刺す。失敗が即クレームになる決済では、無風側に寄せる判断に筋がある。

初めて出稿するときの実務と、明日できる一手

数字を出さない広告ほど、社内説明で裏取りが必要になる

金額や成長率を出さない映像は事実確認の負荷が軽い代わりに、規模を示す根拠を別にそろえる必要がある。airpay が自社サイトで出しているのは加盟店数・消費者数・カバー地域までだ。

確認項目 2026年9月25日時点で確認できた内容 確認した先
キャンペーン名 「Invisible」(初の一般向けブランドキャンペーン) Campaign India(2026年9月21日付)
制作会社 ting(2009年設立、ムンバイ本社、525人以上) ting公式サイト
公開面 YouTube先行、その後OTTへ展開 Campaign India
事業市場 報道は4市場(印・UAE・タンザニア・ザンビア)/公式の国切替は3つ(印・UAE・タンザニア) Campaign India/airpay各国サイト
規制の記述 苦情対応方針を「payment aggregator regime」下の商品・サービスに適用すると自社が明記 airpay苦情対応ページ
出稿費・制作費 報道に記載なし Campaign India

自社の「気づかれていない仕事」を3つ書き出して1本だけ試す

この企画を自社に持ち込むなら、最初の作業は撮影ではなく棚卸しだ。営業とカスタマーサポートに「顧客が当社の存在を意識していないのに助かっている瞬間」を3つずつ挙げてもらう。納期が守られた日、問い合わせが出なかった月、現場が仕様変更に気づかなかった切り替え。1つで30〜60秒の映像を社名なしで作り、最後に社名だけ出す構成を試す。既存の会社紹介動画と並べて営業先に見せれば、どちらが会話を生むかはすぐ分かる。

参照元

← Duolingoがパンジャーブ語の憎まれ…Flipkartアプリに縦型ドラマ30本… →

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