インドで自社商品を売りたいと考えたとき、最初に知りたいのは市場規模ではなく「どこに置けば買ってもらえるのか」です。ところが日本語の情報は、市場の伸び率や消費者の特徴で止まっていて、実際の売り場の名前が出てきません。そこで、先にインドに入っている日本のブランドが、どのモールに店を構えているかを公式の店舗案内から数えました。
ユニクロの公式ストアロケーターに掲載されているインドの店舗は20店です(2026年9月19日時点)。インド1号店は2019年10月4日に開いたデリーのアンビエンス・モール(ヴァサント・クンジ)店で、そこから約7年で20店です。
| エリア | 店舗数 | 出店先のモール・施設 |
|---|---|---|
| デリー | 5 | アンビエンス・モール ヴァサント・クンジ/コンノート・プレイス(ハミルトン・ハウス)/DLF Avenue サケット/パシフィック・モール タゴール・ガーデン/Vegas ドワルカ |
| グルガオン(ハリヤナ州) | 2 | アンビエンス・モール グルガオン/DLF サイバーハブ |
| ノイダ(UP州) | 1 | DLF Mall of India |
| ベンガルール | 3 | Orion Mall(ブリゲード・ゲートウェイ)/Phoenix Mall of Asia/Phoenix Market City |
| ムンバイ | 4 | Inorbit Mall マラド/Oberoi Mall ゴレガオン/Phoenix Marketcity クルラ/Phoenix Palladium |
| プネ | 2 | The Pavilion Mall/Phoenix Avenue of Stars |
| ラク(1ラク=10万ルピー)ナウ(UP州) | 1 | Lulu Mall |
| チャンディガル | 1 | Elante Mall |
| ジラクプル(パンジャーブ州) | 1 | Dhillon Plaza |
デリー、グルガオン、ノイダを合わせたデリー首都圏で8店。20店のうち4割がこのエリアに集まっています。残りはムンバイ4店、ベンガルール3店、プネ2店と大都市に配分され、ラクナウ、チャンディガル、ジラクプルが例外的に入る形です。
20店のうち、路面と呼べるのはデリーのコンノート・プレイス店だけで、残りはすべてモールか商業施設の中です。さらに出店先の名前を見ると、Phoenix 系が5店(ベンガルール2、ムンバイ2、プネ1)、DLF が3店(サケット、サイバーハブ、Mall of India)、アンビエンスが2店と、特定のデベロッパーに集中しています。
出店先が特定のデベロッパーに集中しているため、当たるべき相手は絞り込めます。ただし区画の空き状況や業種の制限、リーシングの担当は施設ごとに違うので、運営会社に話を通したうえで施設単位の確認が要ります。
無印良品のインドの店舗数は、良品計画が決算資料で開示しています。2026年8月期第3四半期のデータブックによると、2026年5月末時点で3店です。2024年8月期末から2026年5月末まで、3店で横ばいのまま動いていません。
数え方には注意が要ります。公式サイトのストアロケーターは4件を返しますが、これは「店舗受取に対応した拠点」を出す仕組みで、店舗一覧ではありません。4件目の K-Square(ターネー県パドガ、郵便番号421101)はムンバイ近郊ビワンディの物流団地の住所で、階数も区画番号もモール名もありません。これを店舗として数えると実数を誤ります。
| 店舗 | 所在 | 規模 |
|---|---|---|
| Jio World Plaza | ムンバイ(バンドラ・クルラ・コンプレックス) | 約12,000平方フィート。インド最大 |
| Phoenix Palladium | ムンバイ(ロウアー・パレル) | 1階ウェストゾーン |
| DLF Mall of India | ノイダ(UP州) | デリー首都圏で唯一の店舗 |
無印良品は良品計画とリライアンス・ブランズの合弁で、2016年8月にムンバイのパラディウムへ1号店を開きました。ユニクロより3年早い参入です。その後ベンガルールとデリーにも出しましたが、現在はムンバイ2店とノイダ1店で、デリー市内とベンガルールには店舗がありません。IRの数字でも、直近の四半期は出店1・閉鎖1で純増ゼロです。
無印良品のほうが3年早く入っていますが、20店と3店という差がついています。理由は各社が公表していないため、ここでは事実の提示にとどめます。無印良品は店舗数を増やすより1店あたりの面積を大きく取る方向で、ムンバイの Jio World Plaza 店は約12,000平方フィートあります。
上の2社の出店先を中心に、デリー首都圏で実際に日本ブランドが入っている施設を並べます。
| 施設 | 所在 | 性格 | 入っている日本ブランド |
|---|---|---|---|
| アンビエンス・モール グルガオン | グルガオン(NH-8沿い、アンビエンス・アイランド) | 大型の総合モール | ユニクロ |
| DLF Mall of India | ノイダ セクター18 | 7フロア・5ゾーン構成(公式サイト) | ユニクロ、無印良品 |
| アンビエンス・モール ヴァサント・クンジ | デリー南西部 | ユニクロのインド1号店(2019年10月4日開業) | ユニクロ |
| DLF Avenue | デリー・サケット地区センター | サケットのモール集積の一角 | ユニクロ |
| DLF サイバーハブ | グルガオン DLFサイバーシティ フェーズ2 | オフィス街の中にある飲食・娯楽主体の商業区画 | ユニクロ |
| パシフィック・モール | デリー西部 タゴール・ガーデン | 約60万平方フィート。1日およそ5万人が訪れる(デリー観光局)。最寄りはブルーラインのスバース・ナガル駅 | ユニクロ |
| Vegas | デリー ドワルカ セクター14 | 新興住宅地のモール | ユニクロ |
| セレクト・シティウォーク | デリー サケット | 2007年開業。南デリーを代表する商業施設 | (無印良品の旧出店先。現在の公式ロケーターに掲載なし) |
サケット地区にセレクト・シティウォーク、DLF Avenue、MGF メトロポリタンが隣接して建っている点は、視察のときに効率がいい場所です。ヴァサント・クンジも、アンビエンス・モール、DLF プロムナード、DLF エンポリオが近接しています。1日で複数の価格帯を見るなら、この2か所のどちらかに絞るのが現実的です。
インドのモールは、デベロッパー系と投資ファンド系に分かれます。DLF、Phoenix Mills、アンビエンスは不動産デベロッパーが自社で保有・運営する形です。一方で2023年5月には、インド初の上場小売REITとして Nexus Select Trust が上場しました。2026年6月末時点で15都市に19施設、小売面積は約1,070万平方フィート、入居する店舗は3,200を超えます。セレクト・シティウォーク(デリー)とネクサス・エランテ(チャンディガル)はこのポートフォリオに入っており、資産評価額では上位2件です。
催事スペースやポップアップの枠を探すとき、同じ会社が複数のモールを持っていれば、運営会社の単位で相談を始められます。ただし実際の枠の有無と条件は施設ごとの判断になるため、最終的には各モールのリーシング窓口に確認することになります。
どのモールが動いているかは、そこに入るブランドの出店発表から分かります。2026年に入ってからのベンガルールの例です。
ユニクロがベンガルール2号店に Phoenix Mall of Asia を選び、その2か月後に英 NEXT が同じ施設への出店を発表しています。海外ブランドの出店先が重なる施設は、そのエリアで集客できる場所として見られている目安になります。視察の行き先を決めるときは、この重なりを手がかりにできます。
商品を置く前に反応を見たい場合、モールの催事スペースを使う方法があります。確認する点は4つです。
モールによって、中央のアトリウムを貸し出すところと、通路のキオスク枠しかないところがあります。搬入の動線と電源、什器の持ち込み可否は施設ごとに条件が違います。
オフィス街に隣接する施設(DLF サイバーハブなど)は平日の昼と夜に人が来ます。住宅地のモールは週末に集中します。試食や実演を伴う企画は、来てほしい層が動く曜日に合わせる必要があります。
試食や物販で食品を扱う場合、施設側の条件に加えて、インドの食品安全に関する許認可の話になります。輸入した商品を販売する場合は、輸入者のライセンスと現地向けの表示が前提です。輸入・ライセンスの支援で商品ごとの条件を整理しています。
インドの小売は外資規制の区分が細かく分かれています。単一ブランドの小売なら100%外資でも自動認可で、自社の法人が在庫を持って消費者に直接販売できます(出資51%超の場合は調達額の30%をインド国内から調達する義務がつきます)。この記事で数えたユニクロがその形で、ユニクロのインド法人はファーストリテイリングの完全子会社です。複数のブランドをまとめて売る形態は出資上限と政府認可がかかり、卸(Cash & Carry)は100%外資が可能でも事業者向けに限られ、消費者には売れません。
実際に効いてくるのは、インドに法人を持たない日本企業はそもそも販売の主体になれない、という点です。輸入に必要な輸出入者コード(IEC)も、食品の輸入ライセンスも、インド国内に拠点と銀行口座を持つ事業者でないと実質的に取得できません。催事で売るなら、輸入者と販売主体を誰にするかを先に決めてください。区画を押さえてから気づくと動けなくなります。
当社は試食会やイベントの会場手配を行っています。提携しているデリー/グルガオンのカフェを会場に使う方法も含めて、商品と狙う客層に合う場所を選びます。詳しくは試食会・イベントをご覧ください。売り場を実際に歩いて確かめたい場合はインド視察ツアーで回る先を組み立てます。
公式ストアロケーターに掲載されているインドの店舗は20店です(2026年9月19日時点)。デリー5店、グルガオン2店、ノイダ1店を合わせたデリー首都圏で8店、ムンバイ4店、ベンガルール3店、プネ2店、ラクナウ・チャンディガル・ジラクプルが各1店です。1号店は2019年10月4日に開いたデリーのアンビエンス・モール ヴァサント・クンジ店です。
3店です。良品計画の決算資料(2026年8月期第3四半期データブック)で、2026年5月末時点のインドが3店と開示されています。ムンバイの Jio World Plaza と Phoenix Palladium、ノイダの DLF Mall of India で、デリー市内とベンガルールに店舗はありません。なお公式サイトのストアロケーターは4件を返しますが、1件はムンバイ近郊ビワンディの物流拠点の住所で、店舗一覧としては使えません。
ユニクロはアンビエンス・モール(ヴァサント・クンジ/グルガオン)、DLF Avenue(サケット)、DLF サイバーハブ(グルガオン)、パシフィック・モール(タゴール・ガーデン)、Vegas(ドワルカ)、DLF Mall of India(ノイダ)、コンノート・プレイスに出店しています。無印良品は DLF Mall of India に入っています。
モールによって、中央のアトリウムを貸し出すところと、通路のキオスク枠しかないところがあります。搬入の動線、電源、什器の持ち込み可否は施設ごとに条件が違うため、個別の確認が必要です。DLF や Phoenix のように複数のモールを同じ会社が運営している場合は、運営会社の単位で相談すると複数都市の枠をまとめて検討できます。
デリーのサケット地区にはセレクト・シティウォーク、DLF Avenue、MGF メトロポリタンが隣接しています。ヴァサント・クンジにはアンビエンス・モール、DLF プロムナード、DLF エンポリオが近接しています。1日で複数の価格帯を見るなら、このどちらかの地区に絞るのが現実的です。
輸入した商品を販売する場合は、輸入者のライセンスとインド向けの表示が前提になります。食品を扱う場合は食品安全に関する許認可も関わります。販売の主体をどこに置くかも先に決めてください。単一ブランドの小売なら100%外資の現地法人で直接販売できますが(ユニクロがこの形です)、インドに法人を持たない日本企業は販売主体になれず、輸入に必要な輸出入者コード(IEC)も取得できません。現地の販売事業者を起用するか、現地法人を設けるかで進め方が変わります。