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India News2026.09.26

ハムダードのSafi、4都市の屋外約30面でZ世代に語り直す

This article is based on what we could verify 2026年9月25日時点で確認できたインド現地の公的資料・報道をもとに作成しています。制度・価格・各社の方針は変更される場合があります。実際の事業判断にあたっては、所管省庁・現地の専門家など一次情報源で最新の内容をご確認ください。

インドのハムダード(Hamdard)が、SafiをZ世代に向けて出し直す施策を発表した。屋外広告は4都市で約30面。実行にはWPPのメディア部門であるWPP Mediaが入り、クリエイティブはCandy Shop Communicationsが担当したと各媒体が伝えている。発表の中身は媒体の組み方と語り口の入れ替えに絞られている。トレード各誌の掲載は2026年9月11日、英Haymarket系のCampaign Indiaが同23日に取り上げた(同誌の本文は会員向けで読めないため、事実関係は9月11日付の2媒体で確認した)。伝統的な処方を持つ商品を若い層へ持ち出すとき、どこまで動かしてどこを据え置くか。日本の食品・健康分野で同じ問いを抱える会社に、判断の材料がそろう事例だ。

Safiの主張は据え置き、置き場所を屋外約30面と発信者に移した

発表資料の骨格は明快で、Safiが長く掲げてきた主張はそのまま残し、それを見せる場所と語り手を入れ替えている。なお「true skin health starts from within(肌の健康は内側から始まる)」はブランド側が掲げる訴求であり、本記事が効果を裏づけるものではない。媒体各紙はSafiを「herbal blood purifier」という呼称で紹介しており、成分や作用の説明は今回の発表資料に出てこない。

デリー、ムンバイ、コルカタ、ラクナウの若者が集まる場所に約30面

屋外は4都市・約30面で、若年層の通行量が多い場所を選んだとされる。掲出コピーは「Skin problems? Your skincare might be working on the wrong side.(肌の悩み? あなたのスキンケアは逆の側に効いているかもしれない)」。塗る発想に引っかかりを作る言い方で、商品名や効能を前に出す構成ではない。

美容以外の発信者と皮膚科医を同じ企画に並べた

発信者はMega・Macro・Microの3層で、美容系に加えて自動車、スポーツ、旅行、ライフスタイルの書き手と皮膚科医を入れている。扱う話題は汚染、ストレス、食事といった日常の誘因で、ミームページが同じ考えを崩して拡散する役を持つ。LinkedInにも広げ、デジタル側では「Safi, Har Ghar Ka Specialist」を大学生や若手社会人に向けた入り口として置いた。

Element 発表されている内容
屋外 約30面。デリー/ムンバイ/コルカタ/ラクナウ。若年層の通行量が多い場所
屋外のコピー Skin problems? Your skincare might be working on the wrong side.
発信者 Mega/Macro/Microの3層。美容に加え自動車・スポーツ・旅行・ライフスタイル、皮膚科医
ミーム・SNS ミームページが掲出コピーを翻案。LinkedInにも展開
デジタル 「Safi, Har Ghar Ka Specialist」。大学生・若手社会人が対象
実行体制 クリエイティブはCandy Shop Communications。屋外計画・発信者/ミーム・デジタル増幅はWPP Media

今回のSafiで新しくなったのは何か

リリースは「会話を起点にした組み立て」へ移ると書いている

リリース自身が「製品便益を伝える従来型から、会話を起点にした組み立てへの転換」と位置づけており、新パッケージも新フレーバーも新価格帯も発表資料には出てこない。日本語で「新商品」と要約すると段階が一つ上がる。ここは訴求の置き直しとして扱うのが原文に忠実だ。

8月に出ていた錠剤の南インド展開は、今回とは別の発表

ただし同じブランドで2026年8月25日付の別の発表があり、そちらでは錠剤をタミルナドゥ、ケララ、カルナタカ、アンドラプラデシュ、テランガナの一般流通に広げること、Amazon MX Playerの作品への協賛(8月18日初回、全15話)が伝えられている。8月の資料にも屋外や発信者の話は出てくるが、剤形と販路が動いたのはそちらだけで、9月の発表は広告側に寄っている。どちらもZ世代向けの流れだが発表は別で、混ぜると事実が崩れる。

ハムダードは1948年から公益信託として運営されている

1906年の診療所から1948年の公益信託へ

公式サイトによれば、ハムダードは1906年にHakeem Hafiz Abdul Majeedがデリーで開いた診療所Hamdard Dawakhanaに始まり、1948年にpublic charitable trust(公益信託)へ移行している。利益の相当部分をHamdard National Foundationを通じて社会還元に回す形をとる、と自ら説明している。日本語で単に「企業」と書くと組織形態を取り違える。

今の会長は1906年の創業者と同名の別人

発表でコメントしているAbdul Majeed氏は、公式サイトによれば1995年に入った現在の会長で、肩書きは Chairman and Managing Trustee(会長兼マネージング・トラスティ)。1906年に診療所を開いたHakeem Hafiz Abdul Majeed氏と名前が重なるが別人である。信託の運営者という立場が肩書きに出ており、相手先の決裁経路を読むときこの違いは実務に効く。

伝統処方の商品を若い層へ出し直すとき、日本企業は何を先に決めるか

残す一文を先に固定してから、媒体を入れ替える

この施策で残ったのは主張の一文だけで、あとはほぼ入れ替わっている。順番が逆だと、媒体を替えたついでに言うことまで変わり、以前からの客が離れる。長く使ってきた資産を残しながら見せ方だけ替えた例としては、看板の「友情」を捨てずに刷新したマクダウェルズ・ソーダの一手が近い。象徴そのものを替えにいったPride of Cowsの刷新と読み比べると、どこまで動かすかの幅が見えてくる。

効能を主張しないコピーを日本語にどう移すか

掲出コピーは効きめを主張せず、読み手の行動(塗る)に疑問符を付けるところで止めている。健康や美容の表示は国ごとに規制が違い、インドで通った言い回しをそのまま日本語に移すと薬機法に触れる。海外事例を社内で共有するときは、訳を付ける前に「これは効能の主張か、問いかけか」を切り分けておきたい。対象年齢を絞って設計した例は、18〜30歳に的を絞ったUnhypeの発売設計が具体的だ。

インドの美容・ウェルネス広告はいまどこで競っているか

大型番組に乗る手と、屋外と発信者で囲む手

インドには大型番組の枠を押さえて認知を一気に取る打ち手もある。今回は逆に、4都市の物理的な掲出と多層の発信者で会話の量を作る組み立てを選んでいる。予算も測れる指標も違うので、自社の商品がどちらの土俵で語られやすいかで選ぶ話になる。

代理店の顔ぶれから読めること

Hamdardの医薬品ポートフォリオ(Safiを含む)の統合メディアは、2023年9月にGroupM傘下のmSix&Partnersが獲得したと発表されている。そのGroupMのドメインgroupm.comは、現在WPPのメディア部門WPP Mediaのサイトへ転送される。今回の発表は、2023年に決まった体制の上で打たれた施策の告知にあたる。

まとめ:確認できた事実と、明日から試せる一手

事実関係を時系列で整理しておく。

Timing 発表内容 確認した媒体
2022年9月 Kriti Sanon起用の「Safi Har Ghar Ka Skin Specialist」。企画・コピーはDentsu Delhi mediabrief.com
2023年9月 GroupM傘下mSix&PartnersがHamdard医薬品ポートフォリオの統合メディアを獲得 mediabrief.com
2026年8月25日 錠剤を南インド5州の一般流通へ/Amazon MX Player作品への協賛 mediabrief.com
2026年9月11日 今回の屋外・発信者・ミーム施策を発表 medianews4u.com/mediabrief.com
2026年9月23日 Campaign Indiaが同件を掲載(本文は会員向け) campaignindia.in

次の一手は一つだけ提案したい。自社の看板商品について、十年後も変えない一文を紙に書き出してみることだ。書けたら、その一文以外は媒体も語り手も入れ替えてよい、という線が引ける。書けないうちに媒体だけ若返らせると、今回の事例が保った部分を落とす。

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