バンガロールの航空エンジン開発企業DheyaTech(Dheya Engineering Technologies)が2026年9月17日、Avaana Capital主導のラウンドで43クロー(4.3億ルピー、約7億円。2026年9月時点、₹1≈¥1.66換算)を調達したとInc42が報じた。資金は国産の小型ガスタービンエンジンの量産、統合型のエンジン試験設備の新設、国内外OEMとの量産連携という3つの使途に振り向ける。航空・防衛向けの耐熱材料や精密加工を手がける日本のメーカーにとって、インドのディープテック供給網に入る接点になる動きだ。
今回の43クローはAvaana Capitalが主導し、航空部品のUnimech Aerospaceが参加した。DheyaTechは推力20〜400kgf帯の小型ガスタービンエンジンを自社開発しており、創業者はGurushankara KC氏、Abhinav Alva氏、Chetan Kumar氏の3名。軍用の耐空証明機関CEMILADの指導のもとで独立した耐空証明の取得を進める、インド民間初の事例と位置づけられている。飛行試験は2026年第4四半期を目標に掲げる。
小型ガスタービンは無人機やターゲットドローン、補助動力の心臓部にあたる。インドは防衛装備の国産化を国策で進めており、これまで輸入に頼っていた推進系を自国で設計・量産できる企業への関心が高まっている。DheyaTechはIIScバンガロールと組み、60kW級ターボ発電機向けに水素対応のフレキシ燃料燃焼器も開発した。エンジン単体だけでなく、燃料の選択肢まで含めた作り込みが同社の輪郭になっている。
Inc42が伝えた使途は具体的だ。第一に、これまで試作中心だったガスタービンエンジンの量産体制づくり。第二に、自社で完結できる統合型エンジン試験設備の新設。第三に、国内外OEMと組んだ商用配備の拡大で、すでにインド内外のOEMから受注を得ているという(発注元・契約額は非開示)。試験設備を内製化すれば、外部評価に頼らず開発サイクルを回せるようになり、量産の立ち上げが読みやすくなる。
Inc42の報道の範囲では、CEMILAC指導下での独立耐空証明という点が同社の差別化として扱われている。エンジン本体に加え、IIScとの水素フレキシ燃料燃焼器の共同開発や、既存OEMからの受注実績が、量産フェーズへ進む裏づけとして紹介された。飛行試験を2026年第4四半期に置く計画も、資金使途と整合する形で報じられている。
ガスタービンはタービンブレードの耐熱合金、精密鋳造、コーティング、軸受といった要素部品の塊で、この領域は日本のサプライヤーが厚みを持つ。国産化を急ぐインドのディープテック企業は、装置・素材・加工の調達先を探している段階にある。ロケットで先行したインド初の宇宙ユニコーンSkyrootの例と同じく、推進系のスタートアップは日本の精密加工と接点を作りやすい。半導体後工程でインド企業が日本の車載チップ組立を受注した逆流のように、部材と装置の取引は双方向で動き始めている。会社設立前から囲い込む日系VCのインド大学攻略の動きも、こうした技術系スタートアップとの早期接点づくりの一手になる。
推進系エンジンのような重い技術に資金が付き始めたことは、インドの調達網が消費財やソフトウェアの外へ広がっている表れだ。2026年第1四半期のインド調達動向でも、資金の裾野が特定セクターに偏らず広がっている点が読み取れる。装置・素材で入る日本のメーカーにとって、量産の立ち上がりに合わせた供給提案が現実味を帯びる。
DheyaTechは資金の使途を量産・試験設備・OEM連携と明示した。耐熱材料や精密加工で組む余地を探るなら、次の一手は統合試験設備の新設スケジュールと、必要とする部材カテゴリを同社に直接照会することだ。飛行試験を控える2026年後半に向け、装置・素材の調達枠が具体化する前に接点を作っておく判断が効いてくる。