配信大手JioHotstarが、2026年9月19日に始まるクイズ番組「India Ke Top 1% – The Anil Kapoor Show」で、視聴者が自宅のスマホから同時に回答できるPlay Along機能を投入する。司会は俳優のアニル・カプール、制作はBanijay Asia、放送はStar Plus。テレビの前で観るだけだった番組を、手元のスマホを第二の画面に変えて巻き込む狙いだ。誰が・いつ・何を仕掛けたのかがはっきりしたこの一手は、インドで商品やブランドを売り込む日本企業が、キャンペーンの参加導線をどう組むかを考える手がかりになる。
afaqsの報道によると、「India Ke Top 1% – The Anil Kapoor Show」は9月19日の夜8時からStar Plusで放送が始まる。制作を担うのはBanijay Asiaで、司会はボリウッド俳優のアニル・カプールが務める。番組は教科書的な知識ではなく、論理・常識・とっさの判断・観察力を問う設問で構成され、100人の挑戦者が13ラウンドを勝ち抜いていく形式だ。その番組に合わせて、JioHotstarはアプリ上で視聴者が同じ問題に自宅から回答できるPlay Along機能を用意した。テレビで放送を追いながら、スマホで自分も解答し、スマートフォンやスマートTVといった賞品を狙える。家族がそろって一緒に参加できる点も打ち出している。
JioHotstarは、ディズニー系のHotstarとリライアンス系の配信サービスが統合して生まれた、インドの大型ストリーミングの入り口だ。スポーツやドラマ、映画に加えて、地上波の看板番組もアプリの中に取り込まれている。テレビ番組の視聴と、スマホでのタップ操作が同じ画面のエコシステムで重なるからこそ、放送に合わせて視聴者の手を動かさせるPlay Alongのような設計が成り立つ。録画や見逃し配信で「あとから観る」が当たり前になったなかで、決まった時刻にみんなで観る理由を作り直す取り組みでもある。番組を単なる映像ではなく、視聴者が触れる遊びに変える発想が、この機能の芯にある。
afaqsが伝えた仕組みはこうだ。挑戦者100人はそれぞれ10万ルピー(約17万円)を持って番組に臨む。誤答で失った金額は個人から差し引かれるのではなく、全体の賞金プールに積み上がっていく。プールの上限は1,000万ルピー(約1,660万円)で、最後の設問は視聴者の上位1%だけが答えられる難度に設定されている。番組名の「Top 1%」は、この最終問題に届く一握りの層を指す。金額はいずれも2026年9月時点、₹1≈¥1.66換算での目安だ。10万ルピーが1レイク(lakh)、1,000万ルピーが1クロー(crore)にあたり、ここを取り違えると円換算が10倍ずれるため、原単位に立ち返って確かめている。挑戦者の失敗が全体の山を大きくし、その山を上位1%が奪う——勝ち負けの緊張を数字で見せる組み立てだ。
Play Alongの中心は、放送中のクイズに視聴者がリアルタイムで解答できる点にある。JioHotstarアプリを開けば、スタジオの挑戦者と同じ問題が家庭の画面にも流れ、その場で答えを選ぶ。正解を重ねた視聴者はスマートフォンやスマートTVといった実物の賞品を狙える。番組を最後まで観る理由と、翌週も観たくなる理由を、賞品と参加体験の両輪で作りにいく設計だ。家族単位で一緒に遊べるとうたっている点は、リビングでの共同視聴を前提にした作りで、視聴時間そのものを伸ばす効果を見込む。放送を眺める受け身の時間を、指を動かす能動的な時間に変えるのが、この機能の実際の働きになる。
広告・メディア業界メディアのafaqsは、この取り組みをテレビ番組に双方向性を持ち込む動きとして報じた。同誌が伝えたのは、番組の形式、賞金の仕組み、そしてPlay Alongによる自宅からのリアルタイム参加という枠組みで、番組内の匿名の反応や個別の評価まで踏み込んだ記述はない。ここでは実際に報じられた範囲にとどめておく。放送と配信を束ねる事業者が、看板司会者を立てた新番組の目玉に「視聴者自身の参加」を据えたこと自体が、テレビをアプリ体験の入り口として使う方向性を示している。
この一手が日本企業に投げかけるのは、インドでは「観てもらう」だけでなく「その場で手を動かしてもらう」導線が武器になるという点だ。番組やスポーツ配信に連動したクイズ・投票・応募は、視聴者の記憶に商品を残しやすく、スポンサー枠の価値そのものを引き上げる。テレビCMを配信の入り口に組み込む発想は、たとえばインド初のTVCをどう設計したかを追ったOpenAIがインドで「現地語の声」を売る、ChatGPT初TVCの設計の事例と地続きだ。国民的イベントに広告を重ねる型はマクドナルド印のW杯連動が具体的に見せているし、数字や名前を遊びに変えて話題を作る手つきは9,230ランを9,230ルピーに変えたコーリーの値付け術にも通じる。自社のキャンペーンに、視聴中・来店中に答えられる小さな参加の入り口を一つ足すだけで、印象の残り方は変わってくる。
視聴者をアプリで巻き込む番組づくりが受け入れられれば、他の配信事業者や番組制作会社も同じ第二の画面を取りにいく。放送を眺める時間を、応募・回答・共有といった行動に変える流れは、ゲームが毎日ログインを称える設計や、SNS発の衝動買いが在庫を動かす現象とも重なる。実際、SNSの一言が売り場の在庫を消したモディ首相の「メロディ」発言でインド版1ルピー飴が即完売の一件は、視聴・話題・購買が短時間でつながるインドの消費者の反応の速さを示している。番組連動の参加体験は、その速さを企業側から設計する試みになる。
JioHotstarのPlay Alongは、看板番組の目玉に視聴者自身の参加を据えることで、視聴時間と話題の両方を取りにいく仕掛けだ。インドで消費者に向き合う日本企業がまず踏み出せる次の一手は、放送やイベント、店頭の体験に合わせて、その場でスマホから答えられる小さな参加導線を一つ設計し、限定エリアでテストしてみることだ。応募数や回答率という手に取れる数字で反応を測れば、次のキャンペーンの投資判断がぐっと具体的になる。