Hatsun Agro Productは、アイスクリームの「Arun」と牛乳の「Arokya」を持つ南インドの乳業である。協同組合が強いインドの酪農で、民間企業としては最大規模にある。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | Hatsun Agro Product Limited |
| 本社 | チェンナイ(タミルナードゥ州) |
| 創業者 | R.G. Chandramogan |
| 連結売上高 | ₹9,959.22 crore(FY2026=2026年3月期/前年比14.5%増、約1,733億円)。FY2025は₹8,700 crore |
| 純利益 | ₹356.20 crore(FY2026) |
| 主要ブランド | Arun Ice-creams、Arokya、Hatsun、Ibaco、HAP Daily、Havia、Milky Moo |
| 上場 | BSE/NSE上場 |
インドの酪農はAmul(GCMMF)をはじめとする協同組合が大きな位置を占める。農家が組合員として出資し、集乳した乳の代金が還元される仕組みで、村ごとに集乳所がある。民間企業はこの網に入れないため、自前で農家と関係を作らなければならない。
Hatsunはこれを南インドで積み上げてきた。集乳から製造、店頭までを自社で組み立てており、協同組合と同じ土俵で戦える規模に育った数少ない民間企業である。
出発点は氷菓だった。R.G. Chandramogan氏は1970年、₹13,000でチェンナイのロイアプラムに約250平方フィートの工場を構え、水を原料にしたアイスキャンディーの製造を始めた。季節に売上が偏ることから、1981年に乳ベースのアイスクリームへ切り替えたのがArunである。そこから牛乳、カード(ダヒ)、ギー、パニール、ヨーグルトへ広げた。プレミアムアイスの店舗「Ibaco」や、直営の販売網「HAP Daily」も持つ。
FY2026(2026年3月期)の連結売上は₹9,959.22 croreで前年比14.5%増、純利益は₹356.20 croreだった。2025年1月にはオディシャ州の乳業Milk Mantraを₹233 croreで取得し、東インドへの足がかりを得ている。同社は2025年4月1日を効力発生日としてHatsunに吸収合併された。
乳業が地域を越えるには、その土地の集乳網を手に入れるのが最短になる。牛乳は遠くへ運べないため、売る土地の近くで集めるしかない。買収の対象が工場より集乳網だったのは、この産業の性質による。
インドで乳製品を手がける場合、協同組合(Amulなど)と民間(Hatsunなど)では交渉の進み方が違う。組合は組合員である農家の利益が優先されるため、外部企業との条件交渉に時間がかかる。民間は条件を詰めやすい反面、集乳量の確保では組合に劣る。
委託製造や共同開発を考えるなら、まず必要な数量と品目を決め、それが民間でまかなえる規模かどうかを見るのが先になる。アイスクリームやチルドのデザートであれば、Hatsunのような民間の設備で足りることが多い。