Avenue Supermartsが運営する「DMart」は、インドの食品スーパーで最も収益性の高いチェーンである。店舗の多くを賃借せずに取得しており、家賃という費用を構造から外したことが低価格の土台になっている。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | Avenue Supermarts Limited(店舗名 DMart) |
| 本社 | ムンバイ(マハラシュトラ州) |
| 連結売上高 | ₹68,821 crore(FY2026=2026年3月期/約1.20兆円)。FY2025は₹59,358 crore |
| 店舗数 | 500店(FY2026=2026年3月期末) |
| 取扱 | 食品、日用品(FMCG)、一般雑貨・衣料 |
| 上場 | BSE/NSE上場 |
「毎日低コスト・毎日低価格」を掲げ、仕入れ、運営、物流のそれぞれで費用を削ったぶんを価格に回す。中でも大きいのが不動産である。店舗の多くを自社で取得するか超長期の賃借で確保しており、家賃の上昇に売価が引きずられにくい。インドの都市部は商業地の賃料が上がり続けており、この差は年々効いてくる。なお自社保有と賃借の比率は開示されていない。
品目数も絞っている。同じカテゴリーに何十種類も並べず、回転の速い商品に集中する。1品目あたりの発注量が大きくなるため仕入れ値が下がり、在庫の効率も上がる。売り場は簡素で、什器も装飾も最小限である。
FY2026(2026年3月期)の連結売上は₹68,821 croreで、FY2025の₹59,358 croreから16%増えた。FY2026末の店舗数は500店。クイックコマースの伸長を受け、DMart Ready(オンライン)も広げている。
10分配達の普及で、消費者がまとめ買いに出かける回数は減る方向にある。DMartはこれに対して、価格差で応えている。クイックコマースは配送費と拠点の費用を価格に乗せざるを得ないため、同じ商品でもDMartのほうが安い。
週末にまとめて買うならDMart、切らしたものを今すぐ買うならクイックコマース、という使い分けが定着するかどうかが焦点になる。同社はDMart Readyでオンラインも押さえにいっているが、主戦場はあくまで実店舗である。
インドで消費財を売るなら、DMartの棚に入るかどうかは売上に直結する。500店という数以上に、価格に敏感な客層が繰り返し来る場所であることが大きい。
ただし同社の条件は厳しい。回転の遅い商品は置かず、価格交渉も強い。日本の商品は品質を理由に単価が高くなりがちで、そのままでは条件が合わない。持ち込むなら、単価で稼ぐのか回転で稼ぐのかを先に決め、回転で戦えない商品はDMart以外の売り場(高価格帯のスーパー、クイックコマース、EC)から始めるほうが現実的である。