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豪州の健康食品9社がベトナム薬局2社を視察、日本勢はどこから始めるか

2026.09.25

本記事は2026年9月25日時点で確認できたベトナム現地の公的資料・報道をもとに作成しています。制度・価格・各社の方針は変更される場合があります。実際の事業判断にあたっては、所管省庁・現地の専門家など一次情報源で最新の内容をご確認ください。

2026年9月21日から23日、オーストラリアの健康食品業界団体CMAが豪政府のAustradeと組み、自国企業9社をホーチミン市に連れて行きました。行き先は在ホーチミン総領事館、薬局チェーンのロンチャウとファーマシティ、展示会Pharmedi Vietnam 2026です。ただし3日間で成立したのは視察と当局への質疑、商談マッチングまでで、出資・買収・業務提携が決まったとはVnExpress(9月22日)もCMAの報告(9月24日)も書いていません。

豪州9社は薬局から規制当局まで3日で回った

初日は総領事館ブリーフィングと薬局2社の視察

CMAによれば、代表団は在ホーチミン総領事館から始まりました。Austradeと現地実務家(DKSH Vietnam、AIG-ACC、OnPoint)が投資環境、健康補助食品市場、規制要件、EC販路を説明し、午後はロンチャウとファーマシティを訪問しました。

参加社はAWS360、Blackmores、Gnosis、Life-Space、Lipa Pharmaceuticals、Longevity Life Sciences、PharmaCare Laboratories、Swisse Wellness、Witsbbの9社だとCMAは書いています。VnExpressは21日のロンチャウ訪問を「8ブランドの代表団」と書き、社数が合いません。同記事のNature’s Wayを含む9社名の列挙は、Austradeが豪州の有力ブランドを挙げた末尾「…」の非網羅の並びです。名簿はCMAを採ります。

2日目以降は展示会の会場でVFAに質問した

2日目と3日目はPharmedi Vietnam 2026に参加し、CMAが目玉の一つとしたVFAとの専用セッションに出ました。食品安全局長のチュー・クオック・ティン(Chu Quốc Thịnh)氏が登録要件を直接説明し、代表団は申請処理の詰まりを質問したとCMAは記しています。ほかに豪越B2B Connectのピッチと商談マッチング、「シルバー経済」のセミナーにも出席しました。

ロンチャウの規模をドン建てで数え直す

6月末2,639店、1店あたり月商13億ドン

運営元のFPTリテール(HoSE: FRT)が7月29日に公表した上半期実績は、連結売上高が30兆7,430億ドン(30,743 tỷ)で前年同期比33%増、ロンチャウ単体は21,448 tỷ=21兆4,480億ドンで同33%増。6月末で薬局2,639店、予防接種センター236か所、計2,875拠点。1薬局の月商は1.3 tỷで、前年同期1.1 tỷから上がりました。VnExpressが9月22日に書いた「2,700店超」「34省・市」「顧客3,600万人超=人口の3分の1超」はより後の断面です。

換算は9月25日時点の1米ドル=25,950.54ドン/158.69円、1豪ドル=111.3円。tỷ を「億」と読むと10分の1に見積もることになります。

項目 原文表記 ドン建て 円 ドル
FRT 26年上期 売上(実績) 30.743 tỷ đồng 30兆7,430億 約1,880億円 約11.8億
ロンチャウ 26年上期 売上(実績) 21.448 tỷ đồng 21兆4,480億 約1,312億円 約8.3億
1薬局の月商(26年6月末・実績) 1,3 tỷ đồng 13億 約795万円 約5.0万
ロンチャウ医薬小売 26年通期(VNDIRECT予想・+27.1%) 41.533 tỷ đồng 41兆5,330億 約2,540億円 約16.0億

顧客3,600万人の次にVNDIRECTが置く数字

証券会社VNDIRECTの9月18日付レポートをベトナム紙が20日に紹介しています。薬局を約400店積み増す余地があり、2030年末には約3,700店に届きうるという見通しです。ただし3,700店でも全国の薬局総数の10%に届かず、医薬小売はなお独立店中心です。これは予想で、確定した計画ではありません。面を取る動きは食品小売でも進み、ウィンコマースが4か月で348店を純増させ86%が農村型だった件と重なります。

現地はこの3日間をどう受け止めたか

CMAは「豪州にとって第2位の輸出市場」と書いた

CMAは報告の末尾で、ベトナムを豪州の健康補助食品にとって第2位の輸出先市場としました。プログラムはAccessing New Markets Initiative(ANMI)の支援で実施されました。ANMIは5,500万豪ドル(約61億円/CMAの原文表記は「$55 million」)規模の輸出多角化支援策で、企業が単独で出向いたのではありません。

ロンチャウが繰り返した言葉は「透明性」だった

ロンチャウ側の発言は、商流より品質管理に寄っていました。同社は「透明性」と「安全性」を掲げ、保健省傘下の国立食品衛生安全検査研究所と戦略提携して「透明性の同盟」を作ったと説明。ゴー・クオック・バオ(Ngô Quốc Bảo)氏は、国際ブランドがベトナムで存在感を広げる接続基盤であり続けたいと述べています。

証券会社は競合が追いつきにくい差を挙げた

VNDIRECTは、店舗網・サプライチェーン・データ基盤と並ぶ顧客基盤の厚みを、競合が縮めるのに時間のかかる差だと見ています。データとAIで地域ごとに品揃えを変え始めた点も挙げました。

日本の健康食品メーカーが読み違えやすい3点

ECに出すだけでも製品公告は免除されない

最初の選択肢になりがちなのは越境ECで、ShopeeがInstagram連携でアフィリエイト導線を張った件のような打ち手も増えています。ただし製品公告の手続きはチャネルで免除されません。VFAは8月30日、ECモールの健康食品広告についてホーチミン市食品安全局に調査と処理を求める文書を出し、健康保護食品(thực phẩm bảo vệ sức khỏe)では公告確認書の取り消しと行政処分を公表した例もあります。薬局チェーンで増えるのは公的書類ではなく、チェーン側が課す取引条件です。ロンチャウは2万2,000人超の地域医療スタッフを抱えると説明しており、店頭で説明する人がいる売り場は求められる資料も変わります。

規制は止まっていない――政令46/2026と食品安全法の改正作業

保健省は2026年2月27日付の文書1222/BYT-ATTPで、食品安全法の施行細則である政令46/2026/NĐ-CPと決議66.13/2026/NQ-CPを4月16日から実施するため、各省・市に準備を求めました。ここはすでに施行済みです。一方、食品安全法そのものは改正作業中です。VFAによれば9月23日朝、保健省でドー・スアン・トゥエン次官が、国会の科学技術環境委員会の予備審査意見の反映を確認する会議を開きました。草案は9章76条で、事前審査を減らし事後監督と罰則を強める方向の意見が出ています。

「商談」を「契約」と書かないために

3日間で起きたのは視察、当局との質疑、商談マッチングです。CMAもVnExpressも、出資・買収・業務提携が成立したとは書いていません。CMAは「この代表団は始まりにすぎない」と結び、VnExpressも協力機会を交わし今後関係を強める、という書き方です。社内資料で「豪州8社とロンチャウが提携」と要約すると事実から離れます。日本勢の投資は先行しており、ライオンがフンイエン省に約15億円で錠剤工場を建てた件がその例です。

ベトナムで健康食品を売る前に確かめる制度と書類

制度・窓口の早見表

確認項目 内容(2026年9月25日時点) 出どころ
所管当局 保健省 食品安全局(VFA)。局長はチュー・クオック・ティン氏 vfa.gov.vn
施行済みの政令 政令46/2026/NĐ-CP・決議66.13/2026/NQ-CP(4月16日から実施) 文書1222/BYT-ATTP
上位法 食品安全法(改正)は草案段階。9月23日に予備審査意見の反映作業 VFA
違反の公表 広告違反や公告確認書取り消しを公表。ECモール出品も対象 VFA 違反処理欄

先に確かめると手戻りが減ること

  • 自社製品がベトナムのどの区分に当たるか。日本の区分のまま持ち込まない
  • 製造所の証明書が、ベトナム側の求める様式・言語・認証で揃うか
  • 納品ロット・返品条件・棚替えサイクル。都市店と地方店の品目差はSKUに響く
  • ラベルと広告表現。効能をうたう表示はEC出品でも摘発対象になる

まず自社製品がどの区分に入るかを確かめる

今週できる一手

豪州は団体と政府が組んで9社を3日間運び、規制当局に直接質問させ、商談の席まで用意しました。再現は重くても最初の一歩は軽くできます。主力SKUを1つ選び、ベトナムのどの区分に当たるか、政令46/2026/NĐ-CPの下で必要な書類は何かをVFAの公開情報と現地代理人に照会する。それだけで、越境ECに置くのか薬局の棚を狙うのかという判断の前提が変わります。ロンチャウが2030年に約3,700店へ増えたとして全国の薬局総数の10%に満たない。店の数で見れば、まだ空いている棚のほうが多い市場です。

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