塗料大手のBerger Paintsが2026年9月、ガネーシャ祭(Ganesh Chaturthi)に合わせたキャンペーン「#PaintYourImagination」を公開した。余った塗料と想像力で子どもが自分だけのバッパ(ガネーシャ神)を作り上げる物語で、信仰と創造性、地域のつながりを一つの場面に束ねている。塗料という商品そのものを祭りの主役に据える設計は、インドで日本の消費財ブランドが商品を文化の文脈へどう載せるかを考える手掛かりになる。
Storyboard18(2026年9月14日)によると、Berger Paintsはガネーシャ祭のタイミングで「#PaintYourImagination」と題した映像を発表した。物語の主役は一人の子どもで、使い残した塗料を使って自分の手でバッパを描き出す。既製の像を買うのではなく、家に残った塗料と発想でガネーシャを形にするという筋立てだ。ブランドは信仰・創造性・コミュニティを結び、祭りのひとときを塗料そのものの働きで描いている。
塗料は壁や家具を塗る実用品で、広告では色の仕上がりや耐久性を語りがちだ。Berger Paintsはこの祭礼版で、塗料を創造の道具として置き直した。子どもが余りものから神像を生み出す場面は、商品の機能ではなく「その塗料で何が生まれるか」を見せる。ガネーシャ祭は家庭で像を迎え、飾り付け、送り出す一連の行事が根づく季節で、手を動かして何かを作る営みと相性がよい。塗料ブランドが祭りの創作行為に自らを重ねた形だ。
祭礼広告には、感情を借りて記憶に残す型と、商品の使い道を物語で見せる型がある。Berger Paintsが選んだのは後者に寄った設計で、塗料が実際に手の中で神像へ変わる過程を主役にした。ハッシュタグ「#PaintYourImagination」は、視聴者が自分の作品を投稿して参加できる余地を残す。作る楽しさを軸に置くことで、商品の存在を押し付けずに使用場面を広げる狙いがある。祭りの創作という誰もが関われる行為に紐づけるほど、ブランドは幅広い家庭の食卓や居間に入り込みやすくなる。
ガネーシャ祭は家庭での飾り付けや手作りが盛んな時期で、塗料や画材が動く季節でもある。この期間に「作る道具」として想起されれば、Berger Paintsは祭りのたびに家庭の創作と結びつく。狙いは、色や品質という機能訴求だけでは作れない、作る喜びとの情緒的な結びつきを育てることにある。商品を売るというより、商品が生み出す場面を売る設計だ。
Storyboard18は、この映像を余った塗料と想像力でバッパを作る子どもの物語として紹介し、信仰・創造性・コミュニティをつなぐガネーシャ祭の場面と伝えている。記事は物語の内容を伝える範囲で、視聴回数やブランドへの反応を示す数値、起用タレント、制作エージェンシーまでは明示していない。ここでは、Berger Paintsが祭りの創作行為に商品を重ねた広告を公開した段階として押さえておきたい。
商品そのものを行事の物語の主役に据える手法は、インドで日本の消費財ブランドが使い道を見せるうえで学べる。まず、季節イベントに商品を重ねる型はマクドナルド印のW杯連動、現地化マーケティングの教科書が具体的だ。次に、行事に合わせて商品を投入する設計はアメリカンツーリスターがハリポタでインド新学期を攻めるが、いつ・誰に当てるかの段取りを示す。一方、信仰や社会的な題材を扱う演出には反発の危険もある。良かれと組んだ演出が裏目に出た例はリアーナがムンバイで「牛に餌やり×子牛革ディオール」炎上が示す通りで、宗教行事を扱うなら現地の機微を読み違えない下調べが前提になる。
ハッシュタグで投稿を募る参加型の広告は、視聴者自身が話題を広げる装置になる。話題が消費へ直結する動きはモディ首相の「メロディ」発言でインド版1ルピー飴が即完売が示す通りで、人が手を動かし発信する祭礼期は、参加型施策が伸びやすい局面にあたる。
Berger Paintsは、余った塗料でバッパを作る子どもの物語を通して、商品そのものをガネーシャ祭の主役に据えた。日本のブランドがまず取れる一手は、自社商品がインドの家庭で「何を作れるか」を一つの場面に絞り、参加型のハッシュタグや店頭の実演に落とし込むことだ。宗教行事を舞台にするなら、文化に精通した監修者を通して表現の機微を確かめてから公開する順番が要る。