ウッタル・プラデーシュ州で3店を営むビリヤニ店Biryani Beesが、俳優ヴィヴェーク・オベロイ氏のファミリーオフィスから約100万ドル(約8,800万ルピー、約1.55億円。2026年9月時点、$1≈¥155・$1≈₹88・₹1≈¥1.66換算)を調達した。創業者はニティン・ティワリ氏。3店をウッタル・プラデーシュ、マディヤ・プラデーシュなどのTier2市場で10店へ広げる計画だ。セントラルキッチンで作り配達アプリで売る単品特化型の地方外食が、どこまで横展開できるかを試す一手になる。
スタートアップメディアStartupTalkyによると、Biryani Beesは2026年8月、ヴィヴェーク・オベロイ・ファミリーオフィスから約100万ドル(約8,800万ルピー、約1.55億円)を調達した。創業者はニティン・ティワリ氏で、グルガオン拠点のインキュベーターWolfpack Labs(2024年設立)の支援を受ける。現在の3店はいずれもウッタル・プラデーシュ州にあり、調達資金でウッタル・プラデーシュ、マディヤ・プラデーシュなどのTier2市場を中心に10店へ拡大する。運営はセントラルキッチン方式で、ZomatoやSwiggyといった配達アプリ経由の販売が主軸となる。
ビリヤニはインドで広く食べられる米料理で、地域ごとに味が分かれる。Biryani Beesはこの一品に絞り、店内飲食よりも配達を前提にした作り方を採る。中心となる厨房でまとめて仕込み、複数店へ配る形にすれば、店ごとに一から調理するより味を揃えやすく、出店コストも抑えやすい。大都市の激戦区ではなく、外資チェーンが手薄なTier2市場を狙う点も特徴だ。地方都市で一定の客がつく単価とオペレーションを固めてから、同じ型を横に増やす道筋を描いている。
StartupTalkyは、現在の3店で年間約25クロー(2.5億ルピー、約4.15億円)の売上規模とされる点を伝えている。単純計算では1店あたり年8クロー超の水準で、この単店経済が成り立つなら、10店への拡大は数字の上で説明がつく。ただし配達アプリ依存の売上は手数料の負担が重く、セントラルキッチンから各店への配送距離が伸びるほど鮮度と原価の管理が難しくなる。3店で示した数字を、地理的に離れた10店でも保てるかが横展開の試金石になる。金額・店舗数は発表段階の値であり、今後変わり得る。
ティワリ氏はStartupTalky上で、「インドのTier2都市の消費者は、全国チェーンの最高水準と同じ一貫性・品質・体験に値する食のブランドを求めている」と述べている。出資したのは俳優ヴィヴェーク・オベロイ氏のファミリーオフィスで、著名人の資金が地方発の単品外食に入った事例だ。ここで確認できるのは、創業者の狙いと出資者の顔ぶれ、公表された調達額と店舗計画までで、拡大後の各店の採算はまだ数字になっていない。
Biryani Beesが示すのは、一品に絞り配達を前提に地方から広げる外食の作り方だ。ビリヤニ専門で一都市に店を積み上げたパラダイスの単品面展開や、外資不在の地場バリュー外食を全国へ広げるグジャラート発Ajay’sの動きと並べて読むと、インドの地方外食が「絞り込み×標準化」で伸びる筋が見える。日本の食品・調味料・冷凍食品メーカーには、こうしたセントラルキッチン型チェーンが、まとまった量を安定して使う原料の卸先になり得る。
大都市が飽和するなか、外食の新しい出店先はTier2以下の都市へ移っている。ハルディラムがUPの地方都市へ初出店した動きと同じく、地方都市の外食需要は着実に厚みを増している。配達アプリとセントラルキッチンを組み合わせれば、大きな路面店を持たずに複数都市へ広げられる。原料や包材、厨房設備を売る側から見れば、こうした地方展開型チェーンが増えるほど、取引の入り口も地方へと広がっていく。
Biryani Beesの調達は、地方発の単品外食が資金を得て横に広がる局面を映す。日本の食品・原料メーカーがまずできるのは、セントラルキッチンで量をさばくインドの地方チェーンを卸先候補として洗い出すことだ。配達前提のチェーンは、味の一貫性を保つために原料を集中購買する傾向がある。Biryani Beesのような拡大期のチェーンをリスト化し、どの原料や設備で入り込めるかを一社ずつ描く作業から始めたい。