ホテル運営のEssentia Hotels & Resortsが、アンドラプラデシュ州ティルパティにレジデンス型のEssentia Residencyを開業し、同州へ初進出した。デラックスルームに加え、1・2・3ベッドルームのレジデンス(3ベッドは最大6名)をそろえ、巡礼者・家族連れ・長期滞在の客層を狙う。誰が・どこで・何のために開いたのかを整理すると、宗教都市の滞在需要を居住型の宿で受け止める動きである。ティルパティのような巡礼都市の滞在需要は、アメニティや食の供給先を探す日本企業にとって狙える面になる。
Hospitality Biz Indiaによると、Essentia Residencyはティルパティのラマチャンドラ・ナガル(Mangalam地区)に位置する。デラックスルームと、1〜3ベッドルームのレジデンスを備え、3ベッドは最大6名まで泊まれる。ティルパティ国際空港、鉄道駅、APSRTCのバスターミナルへのアクセスを持ち、主要な寺院や観光地にも近い。CEOのモハメド・パルヴェーズ氏は「ティルパティは深い信仰の地だが、意味のある旅には安らげる快適さも要る」と述べ、参拝後に戻れる静かな宿として設計したと説明する。
ティルパティはヴェンカテーシュワラ寺院を擁するインド有数の参拝地で、家族単位・数日単位の滞在が多い。一方で、標準的なホテルの一室では、複数世代の家族が数日過ごすには手狭になりやすい。Essentiaは1〜3ベッドのレジデンス型でこの空白を突き、料理や生活の動線を備えた居住型の宿で、長めの参拝滞在を受け止める設計にした。
レジデンス型は、寝室が分かれ、家族がまとまって滞在できる点で巡礼の長期滞在と相性が良い。3ベッドで最大6名という設定は、三世代の参拝旅や親族の集まりを1ユニットで収める発想である。ホテルの客室単位ではなく住まいに近い区画で貸すことで、数日の滞在でも落ち着ける環境を用意し、宗教都市に特有の連泊需要を取りにいく。
ティルパティは菜食が徹底された参拝地で、滞在客の食も菜食が前提になる。居住型の宿が増えれば、館内やデリバリーで供する菜食の食材・調味料・簡便食の需要が続く。精進に近い菜食の分野では、菜食のファインダイニングに精進ブランドがどう乗るかという論点が、日本の食材や調味の売り込み方を考える手がかりになる。
Hospitality Biz Indiaが報じた範囲では、パルヴェーズ氏のコメントに加え、会長のザビエル・フルタド氏、マネージングディレクターのサヴィタ・ダ・シルヴァ氏が経営陣に名を連ねる。同グループは既存5拠点(インドール、プネー、チェンナイ、ナグプール、ウダイプルの5都市)を運営し、ティルパティに加えてワヤナード、グジャラート、インドール、ボパールへの展開を計画に置くとされる。
宗教都市の連泊需要は、菜食の簡便食やアメニティ、日用品の安定供給を求める。同じティルパティでは、寺院都市の巡礼立地に賭ける出店のように、参拝動線に合わせた商いが積み上がっている。滞在客が数日を過ごす居住型の宿は、菜食に対応した食材や調味、使い切りのアメニティを納める窓口になり得る。日本の乾燥野菜や即席の惣菜素材が、菜食の枠内でどう組み込めるかを詰める余地がある。
Essentiaのように地方の宗教都市へ下りる宿泊業は、メトロ以外の滞在需要を掘り起こす。地方都市への初出店では、ハルディラムがUPの地方都市へ広げた出店のように、大都市を飛ばして中堅都市を取る動きが続いている。滞在施設の増加は、その土地での食・物販の供給面を同時に広げる。
宗教都市のレジデンス型が増えるなら、まず菜食の枠に合う食材・調味・簡便食のリストを用意し、滞在客の連泊メニューにどこで入れるかを宿の運営側へ提案したい。Essentia Residencyの稼働と、ティルパティ以外の巡礼・地方都市への展開計画を追いながら、菜食に対応した供給の入り口を1つずつ検証する動きから始めたい。