BigBasketは2011年設立のオンライン食品スーパーで、2021年にタタグループのTata Digitalが過半数を取得した。翌日配達で伸びた会社だが、いまは数分で届けるクイックコマースへの転換の途中にあり、その費用が収支を大きく崩している。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 設立年 | 2011年 |
| 本社 | ベンガルール(カルナータカ州) |
| CEO | Amit Nanda(2026年6月就任。共同創業者のHari Menon氏は取締役として残留) |
| 売上高 | ₹8,223 crore(FY2026=2026年3月期、消費者向け事業/前年比7.7%増) |
| 損失 | ₹3,073 crore(FY2026/前期の₹1,850 croreから66%拡大) |
| 従業員数 | 約3万人 |
| 上場 | 非上場(タタデジタル傘下) |
| 主要サービス | BigBasket(計画配達)、BB Now(即配)、BB Daily(定期便) |
BigBasketはインドのネットスーパーを最初に成立させた会社である。注文を受けてから翌日までに届ける形で、まとめ買いの需要を取ってきた。ところが2021年以降、10分配達を掲げるBlinkitやZeptoが伸び、消費者の期待する速度が変わった。
翌日配達は大きな倉庫から効率よく配れるが、10分配達は街中に小さな在庫拠点を多数置かなければ成立しない。BigBasketはBB Nowという即配サービスで追いかけているが、倉庫の設計も在庫の持ち方も違うため、既存の仕組みをそのまま転用できない。この作り直しに費用がかかっている。
FY2026(2026年3月期)の消費者向け事業の売上は₹8,223 croreで前年比7.7%増にとどまった。同じ期間にBlinkitやInstamartが数割の伸びを見せていることを考えると、伸び悩みが明らかである。一方で損失は₹3,073 croreと、前期の₹1,850 croreから66%拡大した。
親会社のタタデジタルもFY2026に₹4,974 croreの純損失を計上しており、その6割超はBigBasketによるものである。2026年6月には共同創業者のHari Menon氏がCEOを退き、アマゾン・インド出身のAmit Nanda氏が後任に就いた。経営陣の入れ替えは、速度優先の設計へ切り替える意思表示と読める。
BigBasketは品目数の多さを売りにしてきた経緯があり、輸入食品や単価の高い商品でも棚に載りやすい。10分配達のプラットフォームは回転の速い数百品目に絞るため、ニッチな商品は置きにくい。日本の食品を最初に試すなら、まだBigBasketのほうが入り口として現実的である。
日本のメーカーがこれらの売り場に入る手順は、販売支援会社が公開している目安ではブランド資料の提出、取引条件の交渉、商品情報の登録、配送拠点の割り当て、2〜4週間の試験販売という順で、18〜40日かかる。求められるのはGST登録、食品ならFSSAIの許可、5〜10品目の実績、そして欠品させない供給体制である。
ただし同社は転換の最中で、扱い品目の絞り込みが進む可能性がある。取引を始める前に、どのサービス(BigBasket本体かBB Nowか)の棚を指しているのかを確認しておく必要がある。