JioMartは、リライアンスグループの小売部門Reliance Retailが運営するオンライン販売の窓口である。ダークストアを新設して広げる他社と違い、すでに持っている実店舗を配送拠点に変えて数を稼いでいる。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス開始 | 2020年 |
| 運営 | Reliance Retail(Reliance Retail Ventures傘下) |
| 本社 | ムンバイ(マハラシュトラ州) |
| 売上高 | Reliance Retail Ventures連結で₹370,026 crore(FY2026=2026年3月期/前年比11.8%増) |
| 税引後利益 | ₹13,838 crore(FY2026、Reliance Retail Ventures連結) |
| 店舗数 | グループ全体で2万店超(FY2026末) |
| 登録ユーザー | 約3.78億人 |
| クイックコマース | 3,100超の拠点から配送、1,200超の都市・5,100超のピンコードをカバー(2026年6月時点) |
| 上場 | 親会社Reliance IndustriesがBSE/NSE上場 |
クイックコマースは、注文から10分前後で届けるために街中に小さな在庫拠点(ダークストア)を置く。BlinkitやZeptoはこれを一から建てて増やしてきた。JioMartは違う進め方をとった。Reliance Retailが全国に持つ2万店超のうち、食品を扱う店舗をそのまま配送の拠点に使っている。
新設の費用と立地探しが要らないぶん、都市の数を早く増やせる。2026年6月時点で3,100を超える拠点から配送し、1,200超の都市に届く。1日の注文件数は前年の3.6倍になったとしている。一方で、店舗は客が歩く場所として設計されているため、配送に最適化されたダークストアより作業効率は落ちる。
Reliance Retail VenturesのFY2026(2026年3月期)の総収入は₹370,026 croreで前年比11.8%増、税引後利益は₹13,838 crore。食品スーパーのReliance Fresh・Smart、衣料のTrends、家電のDigitalなど複数の業態を抱えており、JioMartはその在庫と店舗網の上に乗るオンラインの窓口という位置づけになる。
つまりJioMartは単体で採算を取る必要がなく、赤字を出しながらシェアを取りにいくBlinkitやZeptoとは資金の出どころが違う。この差は、価格競争がどこまで続くかを見るときの前提になる。
インドで消費財を売る場合、Reliance Retailの取引口座を1本開けば実店舗とJioMartの両方に商品を流せる。窓口が分かれないぶん、条件交渉も在庫管理も一度で済む。逆に言えば、この1社との条件がそのまま全国の売上を左右する。
日本のメーカーがこれらの売り場に入る手順は、販売支援会社が公開している目安ではブランド資料の提出、取引条件の交渉、商品情報の登録、配送拠点の割り当て、2〜4週間の試験販売という順で、18〜40日かかる。求められるのはGST登録、食品ならFSSAIの許可、5〜10品目の実績、そして欠品させない供給体制である。
なお、リライアンスはグループのReliance Consumer Products(RCPL、2024年9月にReliance RetailからFMCGブランドを移管)で自社ブランドの食品・飲料(Campa、Independence、SIL、Ravalgaonなど)を強化している。棚を借りる相手が同時に競合になる構図は、インドの近代小売では避けられない。