インドのEV二輪メーカーUltraviolette(ウルトラヴァイオレット)が2026年9月10日、タミルナドゥ州ホスールに新工場「BIGGA」を建設すると発表した。初期の年産能力は25万台(2.5ラク、1ラク=10万換算)、将来は50万台(5ラク)まで拡張できる設計で、まず新型のTesseractスクーターを量産する。ベンガルールのR&D拠点とサプライヤー網に近い立地を選んだ点が特徴だ。日本の二輪・部品メーカーにとっては、現地EVメーカーが量産拠点を厚くする局面であり、部品供給や協業の受け皿がどこに広がるかを読む材料になる。
Autocar Indiaによると、BIGGAはタミルナドゥ州ホスール近郊シューラギリのSIPCOT工業団地に建設され、用地はタミルナドゥ州政府が用意した。年産能力は初期25万台で、インフラは50万台までの拡張を見込んで設計されている。最初に量産するのは発売予定のTesseractスクーターで、その後に製品ラインを広げる。工場にはリアルタイムの生産追跡、仕分け・溶接・組み立て用の協働ロボット、画像ベースの検査、出荷前評価用のテストコースを備える。なお投資額・敷地面積・雇用数・稼働時期は今回の発表では示されておらず、本記事では触れない。
ホスールはタミルナドゥ州にありながらベンガルールに近く、州境をまたいだ製造集積地として知られる。Ultravioletteが開発拠点のあるベンガルールの近くに量産工場を置くのは、設計と製造の距離を縮めて改良を速く回すためだ。EV二輪は電池・モーター・制御が要で、部品を近くで調達できる立地ほど有利になる。用地を州政府が用意した点も、州がEV製造を誘致している流れを映す。
最初にTesseractスクーターを量産するのは、二輪市場で数の出るスクーター帯を押さえる狙いと読める。工場は協働ロボットと画像検査を組み込み、生産追跡を前提に組まれている。50万台まで伸ばせる設計を先に用意しておくのは、需要が立ち上がったときに増産の谷を作らないための布石だ。2027年には新しいX-47系の派生モデルと、より丸みのあるファミリー向けスクーターの投入も示唆されている。
報道は本件を、インドのEV二輪メーカーが研究開発から量産まで現地で完結させる体制を厚くする動きとして伝えている。投資額や雇用など踏み込んだ数字は公表されていないため、市場評価を断定できる材料は今のところない。ここでは「BIGGA工場の建設を発表し、初期25万台からの量産を掲げた」という事実にとどめる。
50万台を見据える量産拠点は、電池セル・モーター・制御部品から検査・組立の自動化設備まで、幅広い調達を生む。日本勢は完成車のEV二輪で苦戦が伝えられ、現地勢に大きく販売台数で離された状況もあるが、部品や設備なら勝負どころが残る。現地勢の電池がインド初のBIS認証を取った動きを踏まえると、品質・安全規格で信頼される日系部材が入り込む余地はある。まずはホスール・ベンガルール圏のEV二輪クラスターに、部品や自動化設備の供給先として接点を持つのが現実的だ。
EV二輪の量産が増えるほど、電池の材料調達と使用済み電池の回収が現地で厚くなる。インドで電池金属のリサイクルが始動した動きは、量産拠点の拡大と裏表の関係にある。日系は完成車の外側、川上の材料と川下の回収の両面で入る場所を探せる。
BIGGAは初期25万台から最大50万台まで伸ばせる、増産を織り込んだ工場だ。投資額や稼働時期がまだ非開示でも、量産体制が厚くなる方向は明確だ。日本の二輪部品・自動化設備メーカーがとるべき次アクションは、ホスール・ベンガルール圏のEV二輪クラスターに対し、電池・制御部品や検査・組立設備の供給先として量産立ち上げの前に接点を作ること。完成車の外側で先回りする姿勢が、後発日系の入り口になる。