世界で広がる抹茶ブーム|健康志向がけん引する新たなグリーントレンド鮮やかな緑と深い味わいを持つ抹茶が、今や世界中の都市で新たな健康トレンドとして注目を集めています。もともと日本の伝統茶道で使われていた抹茶は、現代では“スーパーフード”として再評価され、欧米やアジア、中東、そしてインドでもその人気が急拡大中です。特に近年の健康志向の高まりを受けて、カフェやレストランでは抹茶ラテや抹茶スイーツが続々とメニューに登場。抗酸化作用のあるカテキンや、リラックス効果が期待できるテアニンを含む抹茶は、単なる飲料にとどまらず、ウェルネスを象徴する食材としての地位を確立しています。あなたは、抹茶本来の苦みを楽しみますか?それともスムージーや焼き菓子に取り入れた甘い抹茶が好みでしょうか?いずれにしても、この“グリーン”なトレンドは、世界のカフェを中心にこれからも広がりを見せるでしょう。インドで広がりを見せる抹茶世界的にブームとなっている抹茶は、2025年現在、インドでも都市部を中心に広がりを見せています。チャイ文化が根付いているインドでは、これまで日本のようなカフェでコーヒーを楽しむ習慣はあまり一般的ではありませんでしたが、近年になってようやく都市部を中心に浸透しはじめ、ついに抹茶を取り入れる店舗も増えてきています。特に若年層を中心に、抹茶ラテを日常的に楽しむ風景が見られるようになってきました。以下では、インドで抹茶を積極的に展開している注目カフェブランドをご紹介します。Gottea(ゴッティー)|抹茶&バブルティーブームの先駆者Got Teaは、韓国人オーナーのデリーNCR発のバブルティーブランドです。店内にはフォトブースを設置するなどK-POPの流行を積極的に取り入れています。そしてメニューの中には抹茶ラテにとどまらず、抹茶レモン・抹茶ストロベリーなど豊富なラインナップを揃えています。Chaayos(チャーヨス)|チャイの専門カフェChaayosは、インド最大級のチャイ専門カフェで、2025年から「抹茶ラテ(Classic/Strawberry/Caramel)」を夏季限定ドリンクとして導入しました。 同社はチャイのカスタマイズ文化をベースに、新たにヘルシーでカラフルな抹茶メニューを提供し、健康志向の顧客層にも訴求しています。Third Wave Coffee(サードウェーブ・コーヒー)|スペシャルティコーヒーバンガロールなど全インドで急成長中のThird Wave Coffeeでは、抹茶を取り入れたメニューを積極提供中です。例えば「Matcha Bobbles」という抹茶ドリンクシリーズが展開されており、豆や焙煎へのこだわりと同様、抹茶の品質にも注目が集まっています。インドで抹茶が人気を集める3つの理由インドで抹茶が急速に人気を集めている背景には、いくつかの明確な理由があります。これらの要因が重なり合って、抹茶市場の成長を加速させているのです。健康志向の高まりと抹茶の栄養価インドでは近年、バランスの取れた食生活や健康意識が急速に高まっており、特に都市部を中心に、栄養価が高く自然由来の食品や飲料への関心が広がっています。こうした背景のもと、抹茶のようなヘルシードリンクは、日々の生活に取り入れやすい“予防的アプローチ”として注目されています。SNSの影響力とトレンド性インドのミレニアル世代やZ世代は、InstagramやTikTokなどのSNSを通じて世界中の食トレンドに敏感に反応しています。鮮やかな緑色の抹茶ドリンクやスイーツは、視覚的なインパクトが強く、いわゆる“インスタ映え”するアイテムとして人気を集めています。14億人を超える人口を抱えるインドでは、急速なインターネット普及とスマートフォンの浸透により、こうしたビジュアル主導のトレンドが瞬く間に広がる土壌が整っており、抹茶ブームを後押ししています。高級感と差別化されたステータスインドの都市部では、経済成長に伴い中間層や富裕層が拡大しています。彼らは自分のライフスタイルを差別化し、国際的なトレンドを取り入れることに積極的です。インド抹茶市場への参入機会と課題急成長するインドの抹茶市場は、日本企業にとって大きなビジネスチャンスを提供しています。しかし、この市場に参入する際には、いくつかの重要な機会と課題を理解することが不可欠です。参入機会:教育とブランド構築インドの消費者の多くは、抹茶の本来の味や品質、使い方についての知識がまだ限られています。このため、抹茶の歴史、製法、品質の違い、適切な淹れ方などについての教育的なマーケティングが効果的です。日本の伝統と文化を強調したブランドストーリーは、インド市場での差別化に大きく貢献します。本物の日本の抹茶としてのブランド構築は、長期的な市場シェア獲得に不可欠な要素となるでしょう。課題:流通と価格設定インドの複雑な流通システムと広大な国土は、製品の全国展開において大きな課題となります。特に抹茶のような温度や湿度に敏感な製品では、品質を維持するためのコールドチェーン(低温流通網)の確保が重要です。また、価格設定も重要な課題です。高品質な抹茶は生産コストが高く、インド市場では適切な価格帯を見極める必要があります。プレミアム層をターゲットにした高価格戦略と、より広い消費者層に向けた手頃な価格の製品ラインの両方を検討することが賢明でしょう。さらに中国やベトナム、そしてインドでも抹茶の生産がされており今後はより安価な商品が出回る可能性があります。その場合は、価格面以外での価値の訴求が重要になります。現地パートナーシップの重要性インド市場への効果的な参入には、現地の流通網や消費者嗜好に精通したパートナーとの協力が不可欠です。インドの食品・飲料業界や小売業界に強いコネクションを持つパートナーは、規制対応や市場開拓において大きな助けとなります。実際、すでに成功している日本の抹茶ブランドの多くは、インドの大手食品企業や小売チェーンとの戦略的パートナーシップを通じて市場シェアを拡大しています。14億人に抹茶は届いていくのかインドの抹茶市場は、まだ黎明期にあると言えます。健康志向やライフスタイルの変化を背景に着実に広がりを見せている一方で、今後の普及は製品の手軽さや価格帯、消費者への理解度に大きく左右されるでしょう。また、今後は日本産に限らず、中国やベトナムなど他国からの輸入品が市場に流通する可能性もあり、競争環境が変化していくことも想定されます。こうした状況を見据え、早い段階でブランドを築いた企業には、大きな成長余地が広がっています。【参考・出典】本記事の内容は以下の公開情報を基に作成しています。・Macrotrends「India Population (1950-2025)」