Zomato vs Swiggy徹底比較2026年版|売上・シェア・手数料・株価から読み解くインドフードデリバリー戦争

目次

はじめに:インドフードデリバリー市場の二強対決

インドのフードデリバリー市場は、Zomato(2025年にEternal Ltdに社名変更)とSwiggyの二社による寡占状態が続いている。両社はフードデリバリーだけでなく、クイックコマース(即時配達)分野でも激しいシェア争いを展開しており、インドのフードテック業界全体の方向性を左右する存在である。

本記事では、FY2025(2024年4月〜2025年3月)およびQ1 FY2026の最新財務データに基づき、両社を売上・利益・市場シェア・株価・手数料・出店者支援の各面から徹底比較する。インド市場での出店を検討するレストランや食品企業にとって、最適なプラットフォーム選定の指針を示す。

売上・利益の比較:Zomatoが圧倒的リード

FY2025の業績比較

指標 Zomato(Eternal Ltd) Swiggy
売上高(FY25) 20,243クロール(約3,600億円) 15,227クロール(約2,700億円)
売上成長率(YoY) +67% +35%
純利益/損失(FY25) +527クロール(黒字) -3,117クロール(赤字)
Q1 FY26 売上成長率 +70% +54%
Q1 FY26 純利益/損失 +25クロール(黒字維持) -1,197クロール(赤字拡大)

FY2025において、Zomatoは売上20,243クロール(約3,600億円)を達成し、前年比67%の成長を記録した。一方、Swiggyの売上は15,227クロール(約2,700億円)で、成長率は35%にとどまった。両社の売上差は約5,000クロール(約900億円)に達する(出典:INDmoney, 2025)。

最も決定的な違いは収益性にある。Zomatoは527クロールの純利益を計上し黒字を達成した一方、Swiggyは3,117クロールの純損失を記録した。この収益力の差は、投資家の評価にも明確に反映されている。

市場シェア:フードデリバリーとクイックコマース

フードデリバリー分野

フードデリバリー分野では、Zomatoが55〜58%のシェアを占め、Swiggyは42〜45%である。2024年前半にはSwiggyのシェアが一時40%を割り込む場面もあったが、Q1 FY2026には42%まで回復している(出典:Motilal Oswal, 2025)。

クイックコマース分野

クイックコマースでは、ZomatoのBlinkit が1日あたり約157万件の注文を処理し、SwiggyのInstamartは約121.5万件と、約36万件の差がある。Blinkitは約1,400のダークストアを172都市で展開し、MAU(月間アクティブユーザー)も1,370万人とリードしている。

株価・時価総額の比較

指標 Zomato(Eternal Ltd) Swiggy
株価(2026年3月時点) 約229ルピー IPO価格390ルピーを大幅下回る
時価総額 約2.2兆ルピー(約4兆円) 約7,750億ルピー(約1.4兆円)
PER 約93倍 赤字のため算出不可
アナリスト目標株価 420ルピー(BNP Paribas) 490ルピー(BNP Paribas)

Zomatoの時価総額は約2.2兆ルピー(約4兆円)で、Swiggyの約3倍に達する。Swiggyは2024年11月のIPO以降、株価が下落を続けており、2026年に入ってからもIPO価格を大幅に下回る水準で推移している(出典:Appreciate Wealth, 2026)。

出店側の手数料比較

コミッション(手数料)構造

両プラットフォームともレストランに対して15〜30%のコミッションを課しており、具体的な料率はレストランの所在地、注文量、選択プランにより変動する(出典:Spice Advisors, 2025)。

プラットフォーム手数料の最新動向

2026年3月時点で、両社はプラットフォーム手数料を相次いで引き上げている。Zomatoは税抜き手数料を12.50ルピーから14.90ルピーへ19%引き上げ、Swiggyもこれに追随して14.99ルピーから17.58ルピーへ17%引き上げた(出典:MediaNama, 2026)。

手数料項目 Zomato Swiggy
コミッション率 15〜30% 15〜30%
プラットフォーム手数料 14.90ルピー/注文(税抜) 17.58ルピー/注文(税抜)
優先表示オプション Zomato Gold(有料) Swiggy One(有料)
配達手数料 距離・需要に応じて変動 距離・需要に応じて変動

集客力の比較:どちらがより多くの顧客を送客できるか

ユーザーベースと注文頻度

Zomatoはフードデリバリー分野で月間アクティブユーザー数でSwiggyを上回っており、特にTier1都市での支配力が強い。一方、Swiggyは南インド(特にバンガロール、チェンナイ、ハイデラバード)で相対的に強いプレゼンスを持つ。

日系レストランが多く進出するデリーNCR地域やムンバイでは、Zomatoのシェアが高い傾向にある。ただし、Tier2都市への展開を視野に入れる場合は、両プラットフォームに出店することで地域による偏りをカバーできる。

サポート体制と出店者支援

Zomatoの出店者支援

Zomatoは「Restaurant Partner」プログラムを通じ、売上分析ダッシュボード、メニュー最適化の提案、プロモーションツールを提供している。Zomato Goldプログラムにより優先表示を受けることも可能だが、追加コストが発生する。

Swiggyの出店者支援

Swiggyは「Swiggy Partner Hub」で同様のツールを提供しているほか、クラウドキッチン支援プログラム「Swiggy Access」を展開している。これは物理的な店舗を持たなくてもデリバリー事業を始められるプログラムで、新規参入者にとっては魅力的な選択肢である。

独自分析:日系レストラン・食品企業はどちらを選ぶべきか

ケース別推奨プラットフォーム

ケース 推奨 理由
デリー・ムンバイ中心の出店 Zomato優先 北インド主要都市でのシェア優位
バンガロール・南インド中心 両方出店(Swiggyやや有利) 南インドでのSwiggy存在感
クラウドキッチン事業 Swiggy優先 Swiggy Accessプログラム活用
プレミアム日本食レストラン Zomato優先 Zomato Goldの高所得層リーチ
食品メーカー(EC販売) Blinkit(Zomato)優先 クイックコマースでの商品販売

両方出店が基本戦略

結論として、リソースが許す限り両方のプラットフォームに出店するのが最適解である。インドの消費者は両アプリを比較して注文することが一般的であり、片方にしか掲載されていないと機会損失が大きい。

ただし、限られた予算でプロモーションを集中させる場合は、出店地域と業態に応じて上記の表を参考にメインプラットフォームを選定し、そこにマーケティング予算を集中投下すべきである。スタートアップとして参入する場合は、Swiggyのクラウドキッチンプログラムの活用も検討に値する。

2026年後半〜2027年の展望

Zomatoは黒字化を達成し、Blinkitを通じたクイックコマース拡大で成長の第二フェーズに入っている。一方、Swiggyは赤字が続くものの、IPOで調達した資金を原資にInstamartの積極拡大を図る。

日系企業にとっての示唆は明確である。両社の競争はプラットフォーム手数料の引き上げにつながりうるため、デジタル決済を活用した自社ECチャネルの構築も並行して検討すべきだ。プラットフォーム依存のリスクを認識しつつ、両社の集客力を最大限活用する「ハイブリッド戦略」が、FSSAI認証取得済みの日系食品企業にとって最も現実的なアプローチである。

参考データソース

この記事を書いた人

大手総合商社にて約8年間、グループ子会社の経営改革や出資先スタートアップとのJV設立を担当。その後インド駐在として、日系大手飲食チェーンのインド展開に従事し、現地に合わせたメニュー開発やマーケティングを推進。

目次