インドは人口14億人を超える世界最大の市場の一つであり、経済成長率は主要国の中でもトップクラスを維持しています。インドでビジネスを展開する上で、現地の銀行口座開設は避けて通れません。
2025年1月、インド準備銀行(RBI)はFEMA規制を更新し、クロスボーダーのルピー取引を促進する改正を行いました。NRI(非居住インド人)が投資口座を管理する手続きも簡素化されており、銀行口座開設の環境は着実に改善されています。
最初に押さえておくべき点があります。NRE口座とFCNR口座は、非居住インド人(NRI)およびインド系人(PIO/OCI保有者)に限って開設できる口座です(FEMA〈Deposit〉Regulations 2016 Schedule 1)。インド系でない日本人駐在員は、これらの口座を開くことができません。日本語の解説記事でもこの区別が曖昧なまま「駐在員向け」と紹介されていることがあるため、注意が必要です。
日本人駐在員が実務上使うのはこの口座です。FEMA上、直前会計年度にインドに182日超滞在し、就労目的で居住している個人は「居住者」として扱われるため、通常の居住者口座を開設できます。給与受取、家賃や生活費の支払いはこの口座で行います。海外送金には別途、所得税法のForm 15CA/15CBの手続きが必要です。
インド国内で得た収入(家賃収入、配当金、年金など)を管理するための口座です。外国人旅行者もパスポートとビザで最長6ヶ月の口座を開設できます。赴任直後でまだ居住者要件を満たしていない期間は、この口座が選択肢になります。
海外からの送金を管理するための口座で、利息はインドで100%非課税です。元本・利息ともに自由に海外送金できますが、開設できるのはNRIおよびインド系人に限られます。
外貨建ての定期預金口座で、米ドルやユーロなどの外貨で預け入れ・引き出しが可能。為替リスクを回避したい場合に有効です。
基本的に必要な書類は以下の通りです。
パスポート(原本とコピー)、有効なビザ、インドの住所証明(賃貸契約書等)、写真(パスポートサイズ)、PAN(Permanent Account Number)カードまたは申請書、外国人登録証(FRRO/FRO発行)。
2025年の規制簡素化により、NRE PINS口座のみで株式投資が可能となり、以前必要だった別個のNRO PINS口座は不要になっています。
日系企業・駐在員にとって利用しやすい銀行としては、SBI(State Bank of India)、HDFC Bank、ICICI Bank、Axis Bankなどの大手行に加え、みずほ銀行やMUFGなどの日系銀行のインド支店も選択肢です。
ムンバイやデリーなどの主要都市では、日本語対応が可能な銀行窓口も限定的に存在します。デジタル決済(UPI)対応も考慮した銀行選びが重要です。
銀行窓口での申請が基本ですが、ここ数年は一部銀行でオンライン申請(e-KYC)にも対応しています。口座開設にかかる期間は通常1〜2週間程度ですが、書類の不備がある場合は1ヶ月以上かかることもあります。
パキスタン国籍の方はRBIの事前承認が、バングラデシュ国籍の方はFRRO/FRO発行の有効な在留許可証が必要です。
口座開設後は、UPIの設定、ネットバンキングの有効化、デビットカードの受取りを速やかに行いましょう。インドではUPI決済が主流であり、日常的な支払いから事業取引まで幅広く利用されています。
税務上の注意点として、NRO口座の利息にはインドで30%の源泉徴収税が課されます。日印租税条約による軽減措置の適用可否についても確認が必要です。現地の会計・税務パートナーとの連携を推奨します。
インド系でない日本人駐在員は、居住者となれば通常の居住者普通預金口座を開設します。赴任直後で居住者要件を満たさない期間はNRO口座が使えます。NRE口座とFCNR口座は非居住インド人(NRI)およびインド系人(PIO/OCI)専用のため、日本人駐在員は開設できません。
パスポート、有効なビザ、インドの住所証明、写真、PANカードまたは申請書、外国人登録証などが基本的に必要です。書類に不備があると手続きが長引くため、事前に揃えておくことが大切です。
SBI、HDFC Bank、ICICI Bank、Axis Bankなどの大手行に加え、みずほ銀行やMUFGなど日系銀行のインド支店も選択肢です。主要都市では日本語対応が可能な窓口も限定的に存在します。UPI対応も考慮した銀行選びが望ましいでしょう。
口座開設は通常1〜2週間程度ですが、書類の不備があると1ヶ月以上かかることもあります。ここ数年は一部銀行でオンライン申請にも対応しています。余裕を持ったスケジュールで進めるのが安全です。
NRO口座の利息にはインドで源泉徴収税が課されます。日印租税条約による軽減措置が適用できるかの確認も必要です。税負担に直結する論点のため、現地の会計・税務パートナーとの連携が推奨されます。
まず用途に合わせてNRE・NRO・FCNRのいずれかを選び、必要書類を揃えたうえで、日本語対応やUPI対応を踏まえて銀行を決めます。口座開設後はUPI設定、ネットバンキング有効化、デビットカード受取りを速やかに行い、税務面は会計・税務パートナーに確認しておくと安心です。