中国発のライフスタイル小売チェーンMINISO(名創優品)が、ベトナム市場進出10周年の節目に合わせて、同国初となるIP特化型業態「MINISO FRIENDS」をホーチミン市のVan Hanh Mall 3階に開業した。オープンは2026年4月25日。IP商品が品揃えの約7割を占める構成で、ブラインドボックスとキャラクターグッズを軸にZ世代の取り込みを加速する。日本のIPホルダーやキャラクター事業者にとっては、東南アジア最大級の若年層市場でライセンス展開を広げる新たな受け皿が一気に立ち上がった格好だ。
起点ニュース:MINISO FRIENDS、Van Hanh Mall 3階に開業
MINISOは2026年4月25日、ベトナム進出10周年を記念して「MINISO FRIENDS」のベトナム1号店をホーチミン市10区のショッピングモール「Van Hanh Mall」3階にオープンした。FRIENDSはMINISOが2025年から本格展開している新フォーマットで、従来の雑貨主体の店舗とは異なり、IPライセンス商品とブラインドボックスを中心に据えたIPゾーン型のレイアウトを採る。
オープンセレモニーには、ベトナムで人気のシンガーQuân A.Pがゲスト出演し、MINISOの自社IP「Gift Bear」のマスコットがお披露目された。会場には、ディズニーのStitchやWinnie the Pooh、サンリオ、ちいかわ、Star Wars、中国発の人気IP「羅小黒戦記(Luo Xiaohei)」などのコーナーが配置された。Star WarsとLuo Xiaohei系コラボはベトナム市場初投入となる。先行販売アイテムとしては、自社IPのYOYO「Fly with the Wind Series」、Sanrio東南アジア限定の「Hello Kitty Leopard」コレクション、Chiikawa Sakura Season Collectionなどが並ぶ。
背景:ベトナム10年・Van Hanh Mall・IP戦略の三点セット
MINISOがベトナムに最初の店舗を開いたのは2016年。以来10年で30以上の主要都市に展開し、Landmark 81、Vincom Times City、Hoan Kiem Lakeエリア、Nha Trang Centerなど都市部の主要モールで軒並みフラッグシップを置いてきた。今回のFRIENDS開業は、その10年を区切りに「雑貨屋からIPプラットフォームへ」という業態転換の象徴という位置づけになる。
立地に選ばれたVan Hanh Mallは、ホーチミン市10区Su Van Hanh通りに位置する大学・住宅街隣接型の都市型モールで、若年層の集客力が強いことで知られる。3階のフロアは元々アパレル区画だったが、MINISOがIPゾーン型店舗向けに改装した。中国本土の広州Grandview Mall店ではFRIENDS開業初日に約1万人を集客し、初日売上RMB45万元(約945万円)を記録しており、若年層密度の高い都市型モールでの開業は同社の勝ちパターンとなっている。
戦略的には、MINISOはアジアでLAND(巨大旗艦)とFRIENDS(IP特化中型)の2フォーマットを並走展開している。2026年に入ってからはマレーシアのSunway Pyramid(2月)、LaLaport Bukit Bintang(3月)、シンガポールVivoCity(450㎡・3,200SKU、4月)、タイ・バンコクSiam Square(3階建て・8,300商品・80超のIP・40以上のテーマゾーン)と立て続けに開業しており、ベトナムはその第5の主要拠点という位置づけになる。中国本土ではすでにLAND型店舗が26店稼働しており、FRIENDS型は東南アジア6カ国・地域で2026年中に倍増する計画だ。
データ:FRIENDSベトナム1号店の規模感
| 項目 | 数値・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| オープン日 | 2026年4月25日 | ベトナム進出10周年 |
| 所在地 | Van Hanh Mall 3階 | ホーチミン市10区 |
| IP商品比率 | 約70% | FRIENDSフォーマット標準 |
| ベトナム既存店舗 | 30以上の主要都市 | 2016年進出から10年で構築 |
| 主要IP | Sanrio/Chiikawa/Disney/Star Wars/Luo Xiaohei/YOYO | Star WarsとLuo Xiaohei系はベトナム初 |
| 参考:シンガポールVivoCity店 | 450㎡・3,200SKU超 | 同フォーマット直近の開業実績 |
| 参考:広州Grandview店 | 初日約1万人集客/RMB45万元 | FRIENDS型の中国本土実績 |
| 参考:バンコクSiam Square店 | 3階建・8,300商品・80超IP・40+ゾーン | LAND型最大級 |
市場の反応:3つの視点
1. ベトナム小売業界(Inside Retail Asia):MINISOのFRIENDS型店舗を「都市レベルのランドマーク化を狙うIP中心型小売の典型例」と位置づけ、シンガポールVivoCity店との同時展開を「IP重視の体験型小売へのピボット」と評している。雑貨店から「IPアミューズメントパーク」化への明確な軸足移しと見る見立てだ。
2. 業界誌Marketing-Interactive:LAND/FRIENDS両フォーマットを「都市レベルのブランドランドマーク」と表現。ベトナム1号店については「IP商品比率7割超」「YOYO・Sanrio・Star Warsのデビューコレクション」を強調し、中国広州店の開業実績(初日1万人・RMB45万元)と並列で扱った。アジアでのIP運営プラットフォーム化の文脈で読み解いている。
3. 現地モール側(Van Hanh Mall公式):開業告知でゲスト歌手Quân A.Pの登場とGift Bearマスコットを前面に出し、若年層・ファミリー層への訴求を強調。モールとしては10区エリアの集客起点として位置づけ、SNSキャンペーンと連動させている。
日本のIPホルダー・キャラクター事業者への示唆
今回の開業で実務上注目すべきは、MINISO FRIENDSが「日本IPの東南アジア展開ハブ」になりつつある点だ。サンリオの東南アジア限定「Hello Kitty Leopard」、ナガノ氏の「ちいかわ」のSakura Season Collectionが初回ラインアップに並んだ事実は、日本のIPホルダーがMINISOの店舗網を、自前で出店せずに現地市場にリーチする経路として活用できることを意味する。
キャラクター事業者・ライセンス窓口にとっての具体アクションは3つに整理できる。1点目はSEA限定SKUの設計だ。MINISOは「東南アジア限定」「サクラ季節限定」のように、地域・季節を切り出した限定企画でブラインドボックス回転率を上げており、日本側もJP限定ではなくSEA限定枠の品揃えを別建てで用意することが交渉材料になる。2点目はFRIENDSのIPゾーン基準(IP商品7割)に合わせた商品点数の確保で、ぬいぐるみ・コレクタブル・文具・ビューティ小物まで横展開できるラインを揃える必要がある。3点目はマレーシア・シンガポール・タイ・ベトナムを束ねたASEAN単位のライセンス契約で、MINISOの開業ペース(2026年に入って4カ月で4カ国5店舗)に追随できる契約スキームへの再設計が必要になる。
業界波及:ベトナム小売のIP消費が一段ギアを上げる
ベトナムのIP消費はここ数年、TikTok Shopとライブコマースを通じて若年層の購買行動が一気にデジタル化しており、ECとリアル店舗の境目が薄くなってきた。MINISO FRIENDSはその文脈に「実店舗側のIP体験」を真正面から差し込む動きで、Pop Mart(中国・ブラインドボックス特化)、TopToy(中国・コレクタブル)といった先行プレーヤーとの三つ巴の構図がベトナムでも本格化する。
ベトナムのEC市場はすでに前年比34.4%増・116億ドル規模に到達しており、Z世代のSNS起点購買が市場を牽引している(参考:ベトナムEC4大プラットフォームが2025年に前年比34.4%増・116億ドル達成)。MINISO FRIENDSの開業は、こうしたデジタル消費の波を実店舗のIPゾーン体験に変換する装置と位置づけられる。また、TikTok自身もホーチミン市に1.25億ドル投資して物流・決済・ECの現地法人を立ち上げており(TikTok、ホーチミン市に1.25億ドル投資)、SNS×IP×実店舗の循環がHCMCを起点に回り始める。
競合のFMCG・雑貨側でも、Momogi GroupによるベトナムBibica買収(インドネシアMomogi Groupがベトナム老舗菓子Bibica買収を3月26日完了)など外資の現地小売アクセス確保が続いており、ホーチミン市はASEAN消費のショールーム化が進む。MINISO FRIENDSの1号店はその布石の1つで、年内に2号店・3号店が続く可能性が高い。
実用情報:MINISO FRIENDS Van Hanh Mall店
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店舗名 | MINISO FRIENDS(Van Hanh Mall店) |
| 所在地 | Van Hanh Mall 3階/11 Su Van Hanh Street, Ward 12, District 10, Ho Chi Minh City |
| 営業時間 | 9:30〜22:00(モール準拠) |
| アクセス | ベンタイン市場から車で約15分/メトロ1号線開業後はBa Son駅経由バス接続 |
| 主な客層 | 10区周辺の大学生・若手社会人・ファミリー層 |
| 主要IP | Sanrio/ちいかわ/Disney(Stitch/Winnie the Pooh)/Star Wars/Luo Xiaohei/YOYO/Gift Bear |
| 運営 | MINISO Vietnam(2016年進出) |
まとめ
MINISO FRIENDSのベトナム1号店開業は、雑貨チェーンとしてのMINISOがIPプラットフォームに業態転換する一里塚であり、同時に日本のキャラクター・ライセンス事業者にとってはASEAN展開の経路が明確に1つ増えた事象である。サンリオ・ちいかわ・スタジオジブリ系・各種アニメIPなど、日本側で次の展開先を探しているIPホルダーにとって、HCMC・10区・Van Hanh Mallというピンポイントの起点は今後12カ月の動向ウォッチに値する。次の注目は、2号店の立地選定と、ハノイ・ダナンへの横展開のタイミング、そして日本IPの限定SKU設計の主導権がどこに置かれるかだ。
引用元:The Manila Times(PR Newswire配信)/Inside Retail Asia/Marketing-Interactive