COS、デリーに続きバンガロールへ――インド南部進出が始動
H&Mグループ傘下のプレミアムファッションブランドCOSが、バンガロールのPhoenix Mall of Asiaにインド2号店を出店する準備を進めている。求人プラットフォームBusiness of Fashionには2026年2月以降、同店舗のストアマネージャー職が複数回掲載されており、出店が間近であることを示唆している。
COSは2025年10月にニューデリーのNexus Select Citywalkにインド1号店をオープンしたばかり。約半年でバンガロールへ展開するスピード感は、インド市場に対するH&Mグループの本気度を物語る。
1号店・ニューデリーの実績
COSのインド1号店は2025年10月2日、ニューデリー・サケット地区のNexus Select Citywalk Mall グラウンドフロアにオープンした。店舗面積は200平方メートル。
店内設計はCOS本社の社内チームが手がけ、「職人技・素材・現代文化の探求」をコンセプトに据えている。床材にはリサイクル90%のテラッゾタイルを採用し、壁はArmourcoat粘土石灰プラスター仕上げ。什器にはアルミニウムレール、家具にはCassinaの椅子やLigne Rosetのソファを配置するなど、ブランドの美学を空間全体で表現した。
価格帯はロンドンと同水準に設定されており、インド市場においては明確にプレミアムポジションを取っている。オンライン販売は当面行わず、実店舗での体験を優先する方針だ。
COS ブランド概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 設立 | 2007年、ロンドン |
| 親会社 | H&M Group |
| グローバル店舗数 | 239店舗(48カ国) |
| オンライン展開 | 38市場 |
| インド店舗 | 1号店: ニューデリー(2025年10月)、2号店: バンガロール(準備中) |
| コンセプト | タイムレスデザイン、サステナブル素材、ミニマリズム |
| 価格帯 | ロンドン同水準(インドではプレミアム帯) |
なぜPhoenix Mall of Asiaか
Phoenix Mall of Asiaはバンガロール北部のイェラハンカ地区に位置するメガモールで、IT企業が集積するバンガロールの中でも急成長するエリアにある。H&Mは既にここに大型店舗(2,500平方メートル)を展開しており、同じグループのCOSを隣接配置することでグループ内のポートフォリオ戦略を可視化する狙いがある。
バンガロールはインドのIT首都として知られ、20-30代の高所得テックワーカーが集中する。COSが掲げる「考える人のためのファッション(thinking person’s answer to fast fashion)」というポジショニングは、この層と親和性が高い。
現地の反応と業界の見方
ファッション業界メディアVoice of Fashionは、COSのインド参入について「quiet luxury(静かなラグジュアリー)トレンドに共鳴するインドの消費者層を正確に捉えている」と評価している。
Inside Retail Asiaは「H&Mグループがインドで’H&M’ブランドだけでなくCOSやARKETなど上位ブランドの展開を始めたことは、インド市場を単なるボリュームゾーンではなくプレミアムセグメントとしても位置づけ始めた証拠」と分析した。
Esquire Indiaは「COSのデリー店はロンドン価格をそのまま持ち込んだが、それでも初日から来客が途絶えなかった。インドの上位消費層はプレミアム対価を支払う準備ができている」と報じている。
日系企業への示唆
COSのインド展開から日系アパレルブランドが学べるポイントは明確だ。
第一に、「プレミアム価格をインドに持ち込んでも勝負できる」という事実。ユニクロが価格を調整してインドに参入した一方、COSはロンドン価格を維持している。日本のデザイナーズブランドやセレクトショップブランドも、必ずしもインド向けに値下げする必要はない。
第二に、モール選定の重要性。Phoenix Mall of AsiaやNexus Select Citywalkといったプレミアムモールは、テナント審査が厳しい反面、来店客の購買力が高い。日系ブランドが出店するなら、こうしたプレミアムモールのリーシング担当への早期アプローチが鍵になる。
第三に、まずデリーかバンガロールで1店舗を出し、反応を見てから全国展開するという段階的アプローチ。COSはオンライン販売をあえて後回しにしており、ブランド体験を先行させる戦略を取っている。
インド・プレミアムファッション市場の動き
2026年にはLululemon、Off-White、Yves Rocherなど6社以上がインド初上陸を予定しており、プレミアム〜ラグジュアリー帯の海外ブランドによるインド進出ラッシュが続いている。COSのバンガロール出店もその流れの一環であり、インドのプレミアムモールはテナント獲得競争が激化している。
Nothingがバンガロールに世界初の旗艦店を構えたように、バンガロールはインドで最もブランド実験に適した都市の一つになりつつある。
店舗情報(予定)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 店舗名 | COS バンガロール店(予定) |
| 所在地 | Phoenix Mall of Asia, Yelahanka, Bangalore |
| 開業時期 | 2026年中(求人掲載中、具体日程未公表) |
| 取扱商品 | メンズ・ウィメンズウェア、アクセサリー |
| 価格帯 | ロンドン同水準(プレミアム帯) |
| 1号店参考 | Nexus Select Citywalk, New Delhi(200 m²、2025年10月開業) |
まとめ
COSのバンガロール進出は、H&Mグループがインドを「H&Mだけの市場」から「マルチブランド展開市場」へ格上げしつつあることを示す。デリー→バンガロールという南北二都市展開は、インド全土のプレミアム消費者を捕捉する意図が読み取れる。
日系アパレルにとっての示唆は、「プレミアム価格でも勝負できるインド」の到来だ。Phoenix Mall of Asiaのリーシング担当へのアプローチ、バンガロールでのポップアップ出店によるテストマーケティングが、具体的な第一歩となる。
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