ベトナムの改正広告法(Amended Law on Advertising)が2026年1月1日に施行された。最大の変更点は、KOL(Key Opinion Leader)・KOC(Key Opinion Consumer)が法的に「広告主体」として明確に定義された点だ。機能性食品・化粧品・ヘルスケア商品を推薦するインフルエンサーは、保健省または地方保健局の認証を事前に確認する義務を負い、虚偽広告への共同責任を問われる可能性がある。
改正の主要ポイント
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| KOL/KOCの法的地位 | グレーゾーン | 「広告主体」として正式認定 |
| 商品検証義務 | なし | 推薦前に認証・品質証明の確認が義務 |
| 虚偽広告の責任 | 広告主のみ | KOL/KOCも共同責任 |
| スポンサード表示 | 任意 | 「sponsored」表示の義務化 |
| 検証費用 | 自己負担 | ブランド側に費用請求権あり |
TikTokの対応:二重審査体制の導入
TikTok Vietnamは改正法への対応として、手動審査とAI自動スクリーニングを組み合わせたハイブリッド監視システムを導入。有料広告コンテンツを投稿前に検出し、「sponsored」ラベルを自動付与する仕組みを実装している。また、インフルエンサーがコンテンツ公開前に「広告申告」を行うアプリ内ツールも新設された。
D2Cブランドへの影響:コスト増 vs 市場信頼の向上
この法改正はベトナムD2C市場に二つの影響を及ぼす:
短期的コスト増:KOL起用にあたって商品認証の事前確認・検証費用の負担・契約書面の整備が必要になり、特に中小D2Cブランドにとっては運用コストが上昇する。
中長期的な市場信頼の構築:一方で、虚偽広告の横行による消費者不信が解消されることで、正規の品質を持つブランドが差別化しやすくなる。2017年のAsiaKOL調査ではベトナムのオンライン消費者の77%がインフルエンサーの推薦で購買を決定しており、この高い影響力に法的フレームワークが追いついた形だ。
日系企業のベトナムEC参入への示唆
日本からベトナムEC市場に参入する企業にとって、この改正法は以下の対応を求める:
- KOL契約の法的整備:推薦前の商品検証義務を契約条項に明記
- 認証書類の事前準備:保健省認証・品質証明を英語・ベトナム語で整備
- プラットフォーム対応:TikTok Shop・Shopee・Lazadaの各プラットフォーム固有の広告規制を確認
ベトナムD2C美容市場のTikTok Shop動向やTikTok Shop手数料引き上げと合わせて読むことで、2026年後半のベトナムD2C戦略を多角的に検討できるだろう。