日本の化学メーカー、中国からインドへ投資シフト加速

日本の化学メーカー各社が中国への投資を縮小し、インドへの展開を本格化させています。三井化学をはじめとする大手各社がインドでの現地生産を検討・推進しており、地政学リスクの分散と高成長市場の開拓を同時に狙う「チャイナプラスワン」戦略がより明確な「インドシフト」へと進化しています。

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数字が示す急速な変化

日本貿易振興機構(ジェトロ)のデータによると、日本の中国向け投資は2024年に前年比46%減と大幅に落ち込みました。一方、インドにおける日系企業の事業拠点数は現在5,205か所に達しており、わずか3年間で400か所以上増加しています。この対照的な動きが、日本の製造業・化学業界のインドへの重心移動を端的に示しています。

三井化学のインド進出計画

三井化学はインド政府の「メイク・イン・インディア」政策を事業機会と捉え、ポリオレフィン系エラストマーやEPDMゴム等の現地生産拠点の設置を検討しています。2030年までに現地生産を開始することを目指しており、インドの旺盛な自動車・製造業向け需要を取り込む計画です。

インド化学市場の成長ポテンシャル

インドの化学産業は2027年までに年率11〜12%の成長が予測されており、2040年には1兆ドル規模に達するとの試算があります。インド政府は化学セクターへの100%外国直接投資(FDI)を認めており、用地取得・税制面での優遇措置も整備されています。日本はすでにインド化学セクターへのFDIで第5位の投資国となっており、今後さらに存在感が高まる見通しです。

半導体材料でも日本が優位

化学分野の中でも特に注目されるのが半導体材料です。日本企業が世界シェアで圧倒的な強みを持つフォトレジスト、研磨材料(CMP)、電子ガスなどの分野で、インドの半導体製造への参入・拡大(インド政府は半導体産業育成に巨額補助金を投入)と連動した供給拡大の機会が生まれています。

日系化学・製造業企業への示唆

インドシフトを検討する日系化学・製造業企業にとって、いくつかの重要な点があります。第一に、インドは中国に比べてサプライチェーンの成熟度は低いものの、政策面での外資優遇と市場成長率の高さが強力な投資根拠となります。第二に、現地パートナーとの合弁・技術提携により、インドの規制・商慣習・人材面での課題を効率的に克服できます。第三に、2030年を見据えた中長期的な視点での拠点整備が、競合に対する先行優位を生み出します。

まとめ

日系化学メーカーのインドシフトは、単なる地政学リスク回避を超え、インドの高成長市場を積極的に取り込む戦略的な動きへと発展しています。インドの化学市場は2040年に1兆ドルを目指して成長を続けており、今まさに参入・拠点形成を進める日系企業にとって大きなビジネスチャンスが広がっています。

この記事を書いた人

株式会社 SoJapanのアバター 株式会社 SoJapan 代表取締役

大手総合商社にて約8年間、グループ子会社の経営改革や出資先スタートアップとのJV設立を担当。その後インド駐在として、日系大手飲食チェーンのインド展開に従事し、現地に合わせたメニュー開発やマーケティングを推進。

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