韓国の大手コンビニチェーンEmart24が、インド西部マハラシュトラ州プネーに同国1号店を開業した。Solitaire Business Hub内の2フロア店舗で、自社プライベートブランド「No Brand」商品に加え、68席を備えたフードコートを併設する。現地の外食事業者Jung Brothers Hospitalityとのブランドライセンス契約による参入で、韓国系コンビニとして初のインド進出となる。
韓国系コンビニ初のインド出店
Emart24は韓国の流通大手E-mart傘下のコンビニ事業で、今回のプネー店が韓国コンビニ業態として初めてのインド市場参入にあたる。店舗が入るSolitaire Business HubはプネーのITクラスターに近接する商業施設で、2フロア・約260平方メートルの売り場面積を持つ。室内外あわせて最大68人が利用できるフードコートを備え、コンビニというより小型の食体験スペースに近い構成をとる。
主力となるのは、E-martが展開する低価格プライベートブランド「No Brand」の商品群だ。あわせて韓国式の弁当・惣菜、コスメ、ライフスタイル雑貨を取りそろえ、韓流コンテンツで高まった韓国カルチャーへの関心を購買につなげる狙いがある。2号店は同年10月の開業を予定しており、立地は未定とされる。
ブランドライセンス+現地パートナーという入り方
注目すべきは参入方式だ。Emart24は自前で直営網を広げるのではなく、現地の外食事業者Jung Brothers Hospitalityとブランドライセンス契約を結んだ。同社CEOのPeter Jung氏はインドで活動する在印韓国人起業家で、プネーでカフェチェーン「Café Peter」など28店舗を運営してきた実績を持つ。店舗運営の知見とブランドを分担する形で、初期投資とオペレーションリスクを抑えている。
立地にプネーを選んだ背景には人口動態がある。Emart24のChoi Jin-il CEOは、インドを平均年齢28歳前後の若い国と位置づけ、成長余地の大きさを参入理由に挙げている。インドでは小売店舗の約75%が近代的な利便性を持たない個人商店とされ、整備された小型店業態には開拓余地が残る。
店舗データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店舗 | Emart24 インド1号店 |
| 立地 | プネー・Solitaire Business Hub |
| 構成 | 2フロア/約260平方メートル |
| フードコート | 室内外あわせて最大68席 |
| 主力商品 | No Brand(PB)、韓国式惣菜・弁当、コスメ、雑貨 |
| 運営パートナー | Jung Brothers Hospitality(Café Peter等28店舗を運営) |
| 2号店 | 同年10月予定(立地未定) |
業界の反応
韓国側の関係者は、韓流コンテンツの浸透で韓国食品・コスメへの需要が広がっている点を出店の追い風として挙げる。Emart24経営陣はプネーを政府の「Ease of Living Index」上位都市と評価し、韓国系製造業の集積も選定理由に含めた。現地不動産のSolitaire Groupは商業デベロッパーとして店舗用地を提供し、ライセンスを軸にした3者連携の形をとる。
食のトレンド面では、インドの夏季にクイックコマースで冷たい飲料やマンゴーの需要が急増するなど、食品小売の購買行動が変化している。こうした流れは猛暑下のクイックコマース需要の動きとも重なり、食を起点にした小型店の存在感を後押しする。
日本企業への示唆
インド進出を検討する日本のマーケティング担当者にとって、Emart24のケースは「商品ブランド+現地運営パートナー」という分業の好例だ。コンビニや食物販は立地選定・在庫・人材オペレーションの難度が高く、自社単独での展開はリスクが大きい。すでに現地で複数店舗を回しているパートナーにブランドライセンスを供与する方式なら、運営ノウハウを借りながら看板を立てられる。
もう一つの示唆は、フードコート併設という「滞在型」の設計だ。物販だけでなく食の体験を組み込むことで、韓国カルチャーへの関心を来店動機に変えている。日本食・日本ブランドも同様に、商品を並べるだけでなく食体験とセットで提示する設計が、若年層の集客で効きやすい。
業界への波及
韓国系コンビニのインド進出は、整備された小型店業態という空白地帯への号砲になりうる。インド小売は大型ディスカウントストアや専門店チェーンの出店が加速しているが、近代的な小型コンビニはまだ手薄だ。Emart24が単独店で需要を検証し、マスターフランチャイズ化へ移行する構想を示している点も、後続ブランドが参入手順を読むうえで参考になる。
日本のコンビニ・食物販各社にとっても、韓国勢の先行は競争相手の出現であると同時に、市場が立ち上がる兆しでもある。海外ブランドの初上陸が相次ぐ流れは2026年のインド初上陸ブランドの動向にも表れており、食・小売領域での日本ブランドの出遅れが意識されやすい局面だ。
まとめ
Emart24のプネー出店は、韓国コンビニ初のインド進出というだけでなく、ブランドライセンスと現地パートナー運営、食体験併設という3つの設計思想を一度に示した事例だ。インドの若い人口と韓流の追い風を、商品だけでなく店舗体験で取り込もうとしている。日本企業が食・小売でインドを攻めるうえで、自社で抱え込まずに現地の運営力を借りる入り方は有力な選択肢になる。
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