サムスン電子が、ベトナム北部タイグエン省に半導体テスト工場を新設する。投資額は15億ドル(約39兆ドン)で、2027年11月の稼働を目指す。ロイターが入手した文書をもとに2026年5月に報じられ、ベトナムにおけるサムスン初の半導体テスト拠点となる。
ウェハーを製造する前工程ではなく、完成したメモリチップを検査する後工程(テスト)に特化した施設である。AIデータセンター向けの需要で逼迫するレガシーメモリの供給確保が狙いだ。
15億ドルのテスト工場、ハノイ北方60kmに
建設地は、ハノイの北約60kmに位置するタイグエン省の工業団地。サムスンが既に運営するスマートフォン・タブレット製造拠点に隣接する。ベトナム当局は2026年3月に投資を承認しており、4月以降は200人超のサムシスンの技術者・スタッフが現地で作業に入っている。ロイターの記者は現地取材で重機と作業員の姿を確認したと報じている。
主役は「レガシーメモリ」のDDR4・LPDDR4
この工場が扱うのは、最先端品ではなくDDR4やLPDDR4といった旧世代(レガシー)のメモリ製品である。生産者各社がAIチップ向けに最新ラインを振り向けた結果、スマートフォン・ノートPC・自動車向けの汎用メモリが品薄になっている。テスト能力をベトナムに増設することで、この供給逼迫に対応する構図だ。
投資・稼働スケジュールの整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投資額 | 15億ドル(約39兆ドン/約2,300億円) |
| 建設地 | タイグエン省(ハノイ北方約60km) |
| 施設種別 | 半導体テスト工場(後工程・検査) |
| 当局承認 | 2026年3月 |
| 稼働目標 | 2027年11月 |
| 想定能力 | DRAM 1,533億ギガビット/NAND 2,556億ギガビット(年間) |
| 第2工場構想 | 収益次第で最大25億ドルの追加投資 |
※円換算は1ドル=約155円で概算。為替により変動する。
サムスンのベトナム集積、累計230億ドル超
サムスンはこれまで数十年にわたりベトナムに230億ドル超を投じてきた。スマートフォンの一大生産拠点を築いた上で、今回テスト工程まで広げることになる。前工程(ウェハー製造)は依然として韓国などに残るものの、後工程をベトナムに置く流れは、同国を電子部品サプライチェーンの中核へ押し上げる動きと言える。
ベトナム進出企業への影響
半導体テスト拠点の進出は、周辺の部品・装置・物流サプライヤーにとって商機となる。タイグエン省は2026年第1四半期に54億ドルの登録外資を集め、FDI誘致で全国首位に立った。北部工業団地への集積が加速するなか、ベトナム進出を検討する日本企業にとっては、半導体・電子部品クラスターの後背地としてタイグエン省を含む北部の優先度が上がっている。
第2工場まで見据えた長期布石
サムスンは本プロジェクトの収益を再投資し、最大25億ドル規模の第2工場の建設も視野に入れる。メモリ需給がAI向けに偏る構造は当面続くとみられ、汎用メモリの検査能力をベトナムに厚く持つことは、サプライチェーン全体の安定化に直結する。
まとめ
サムスンの15億ドルのテスト工場は、ベトナム北部を半導体後工程の拠点へと押し上げる節目の投資である。2027年11月の稼働に向け、周辺サプライヤーや進出企業にとってタイグエン省を含む北部の存在感は一段と高まる。
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