山洋電気、フンイエン省に約47百万ドルの冷却ファン工場を計画――AI・半導体需要で2026年9月着工

冷却ファンや電源機器を手がける山洋電気(Sanyo Denki、東京)が、ベトナム北部フンイエン省のタンロンII工業団地に新工場を計画している。投資額は70億円(約4,682万ドル)。AIと半導体分野の需要拡大を背景に、2026年9月の着工、2027年7月の稼働を予定する。ベトナムに営業拠点を持たなかった同社にとって、日本・フィリピンに次ぐ世界3カ所目の主要生産拠点となる。

目次

70億円投資、月50万台の冷却ファンを生産

新工場はタンロンII工業団地に立地し、敷地面積は約4万7,800平方メートル、3階建ての鉄骨造となる。生産能力は冷却ファンが月約50万台、ステッピングモーターが月約5万台、サーボモーターが月約5,000台。AI・半導体向けの旺盛な放熱需要に応える設計だ。投資額は70億円(約4,682万ドル)で、着工は2026年9月、稼働は2027年7月を見込む。

日本・フィリピンに次ぐ世界3拠点目

山洋電気は1927年創業、東京に本社を置く電機メーカーで、2024年度の営業収益は978億円(約6億5,415万ドル)。今回のベトナム工場は、長野県とフィリピン・スービック湾に続く主要生産拠点となる。これまでベトナムでは現地の主要代理店10社を通じて製品を流通させてきたが、公式の代表事務所は持っていなかった。生産拠点を構えることで、現地での供給力と顧客対応を一段引き上げる狙いがある。

工場の概要

項目内容
立地フンイエン省 タンロンII工業団地
投資額70億円(約4,682万ドル、1ドル150円換算)
敷地面積約4万7,800平方メートル(3階建て鉄骨造)
冷却ファン生産月約50万台
ステッピングモーター月約5万台
サーボモーター月約5,000台
着工/稼働2026年9月/2027年7月
出典: The Investor(為替は1ドル150円で換算)

業界の反応

第一に、AI・半導体の放熱需要が投資判断の決め手になった。データセンターや高性能チップは発熱との戦いであり、冷却ファンの需要は構造的に伸びる。山洋電気自身もAI・半導体分野の需要拡大を投資理由に挙げている。

第二に、立地のフンイエン省は近年タイビン省と合併し、バクニン・ニンビン・ハノイ・ハイフォンなどに接する広域の産業地帯となった。北部のサプライチェーンに近接できる利点が大きい。

第三に、AIインフラ向けの日本企業の投資が北部に集中しつつある。HOYAが約500億円を投じHDD用ガラス基板工場をAIデータセンター需要に対応して建設する動きと同じ潮流にある。

日本企業への影響

山洋電気の進出は、ベトナム北部が「AI・半導体サプライチェーンの集積地」として定着しつつあることを示す。冷却・電源・精密部品を扱う日本企業にとって、顧客であるデータセンターやチップ関連の集積地に近い場所で生産する意味は大きい。現地代理店経由から自社拠点へ切り替える同社の判断は、規模が見えてきた市場で供給網を内製化する典型例といえる。北部に拠点を検討する企業は、工業団地の選定で取引先や物流結節点との距離を重視したい。

業界への波及

冷却ファン工場の新設は、ベトナムがAIインフラの「川上部品」まで担い始めた兆候だ。半導体・データセンター向けの部材生産が増えれば、関連する素材・装置・物流の需要も連動して立ち上がる。Appleがスマートホームハブをベトナム工場で組み立てる動きや、PepsiCoが4億ドルで2工場を建設する大型投資のように、完成品から部品まで生産の裾野が広がるなか、北部はAI時代の製造クラスターとして厚みを増している。

まとめ

山洋電気はフンイエン省に70億円を投じ、AI・半導体需要を見据えた冷却ファン工場を世界3拠点目として計画する。2026年9月着工、2027年7月稼働の予定だ。日本企業にとって、ベトナム北部はAIインフラのサプライチェーンに食い込む有力な選択肢となりつつあり、顧客集積に近い生産拠点づくりが競争力を左右する局面に入っている。

参考

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この記事を書いた人

大手総合商社にて約8年間、グループ子会社の経営改革や出資先スタートアップとのJV設立を担当。その後インド駐在として、日系大手飲食チェーンのインド展開に従事し、現地に合わせたメニュー開発やマーケティングを推進。

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