日本最大のカレーチェーン「CoCo壱番屋」は、三井物産との合弁でデリーNCRに2店舗を構えている。2025年10月には今後10年でインド国内を約100店まで増やす計画が報じられたが、現状との差は大きい。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | Curry House CoCo Ichibanya(壱番屋) |
| インド法人の設立 | 2019年6月(合弁設立、発表は7月8日)/1号店は2020年8月 |
| 本社 | デリーNCR(親会社:愛知県一宮市) |
| 運営 | 三井物産(60%)× 壱番屋(40%)の合弁 |
| 店舗数 | 2店舗(デリーNCR、2026年4月時点) |
| 報じられた計画 | 今後10年でインド国内を約100店(2025年8月) |
インドの家庭は毎日カレーを作る。外食で改めてカレーを食べる理由を作らなければ、店に来る動機が生まれない。CoCo壱番屋が持ち込んだのは「日本式のカレーライス」という別の食べ物で、とろみのあるルウを白飯にかけ、トッピングを選ぶという形そのものが現地にはなかった。
この差別化は成立する一方、客層を狭める。インド料理として食べる層ではなく、日本の食べ物として試す層が対象になる。1号店をグルガオンのCyber Hub(オフィス街の飲食集積地)に置いたのは、その客層がいる場所を選んだためである。
インド向けの作り分けで大きいのは、動物性の原料を使わないベジタリアン対応のカレーソースを用意したことである。CoCo壱番屋の標準的なカレーソースは豚と鶏の原料を含むため、そのままでは牛肉も豚肉も避ける層に出せない。インドではパニール(カッテージチーズ)のトッピングや、ライスの代わりにナンを選べる選択肢も加えている。
ベジタリアン対応は「肉を抜く」ことではない。ルウの出汁から見直し、調理器具と揚げ油を分け、従業員の動線まで分けることが求められる。店舗の設計と運営コストに直結する。
壱番屋と三井物産は2019年6月に合弁会社を設立し、2020年8月にグルガオンのCyber Hubへ1号店を出した。2022年10月にはデリーのSelect CITYWALKモール内のフードコート「My Square」に2号店を開き、2026年4月には1号店をグルガオンのAmbience Mallへ移している。
6年で2店舗という歩幅に対し、2025年10月に報じられた「10年で約100店」という計画は大きく離れている。1号店の開業がコロナ禍と重なったという事情はあるが、それを差し引いても、計画を実現するには出店の形を変える必要がある。直営で積み上げるのか、フランチャイズに切り替えるのかが焦点になる。
日本の外食がインドで計画を立てるとき、Tata Starbucksが500店に13年あまりかけたことと併せて見ておきたい事例である。